「涙が出そう」 米下部ツアー初勝利の杉浦悠太は女性キャディと試行錯誤の2人旅
◇米下部コーンフェリーツアー◇アドベンドヘルス選手権 最終日(23日)◇ブルーヒルズCC(ミズーリ州)◇7383yd(パー72)
大歓声の中心で、胸にこみ上げるものがあった。「“ヨッシャー!”というよりは、“うわ、勝てた…”という感じでした。涙がウルっと出そうな感じで、じわっと来ました」。苦しみ続けた米下部コーンフェリーツアーの1年目。杉浦悠太はシーズンの終盤になって訪れた瞬間をじっくりとかみ締めた。
単独首位で迎えた最終日、開始時の1打のリードは早々に失った。連日繰り広げられたバーディ合戦が続く中、杉浦は前半6番までに1バーディ、1ボギー。7番から3連続バーディを奪ったところで「もう一度、優勝争いに加われたかな」と思ったという。
トップツアーとは違い、下部ツアーにはリーダーボードが至る所にあるわけではない。同じ最終組の選手を意識しながらホールを進めた。「1位にいるはずだ」と思って迎えた14番(パー3)、ティイングエリアで久々に登場した電光掲示板に驚く。20位から出たオースティン・ヒットが「60」をたたき出し、通算28アンダーでホールアウト。2打のビハインドだと知り「1位だと思っていたのに。そんなことがあるんだ…」と目を見開いた。
2023年のアマチュア優勝(ダンロップフェニックス)を含む日本ツアー3勝の23歳は、自らを追う立場と認識したところから真価を発揮した。高難度の3ホールで「2つ獲れれば」とプレーオフ進出を狙い、力を込めた16番で7Iでの2打目を“OK”につけてバーディを奪取。6mのチャンスを沈めた17番で追いついた。636ydと長いパー5は3打目勝負と決めていた。8Iで狙い通りピン右1m強をとらえ、鮮やかな3連続バーディ締めで「65」。70ホール目からの逆転劇に「本当にうれしい」とガッツポーズを作った。
昨年の予選会を経て、新たな主戦場としたコーンフェリーツアー。直近3大会で3試合連続の予選落ちを喫し、年間ポイントランキングは85位に低迷していた。「高いレベルについていけるようにスイングを思い切って変えたりもしたんです。出力を上げるために無駄な動きをなくすように」。将来を見据えた改造は犠牲を伴う。「日本とは芝の種類も違うのでアプローチの打ち方も変えた。(米国の芝は)抵抗がすごくてフェースを開きたくなるけれど、意外と閉じた方がイメージしたボールが最近は出る」と、あらゆる角度で試行錯誤を続けていた。
クラブを握り「ちょっとずつ良くなっている感覚があったのに、なんで予選落ちするんだろう…」と日々悩みつつ、コースの外では早くから異国に適応していた。「環境でつらいことはない。(石川)遼さんもいますから。ご飯をご一緒したり、練習ラウンドもさせてもらったりしている」。信頼する女性キャディとの2人旅。春先に買った1.5合炊きの炊飯器を転戦のお供に、宿舎で握ったおにぎりを食べながらたくましく闘っている。
4試合を残してポイントランクは23位に急浮上した。来季のPGAツアー昇格が決まるシーズン終了時のトップ20が一気に近づいた。「まさかこれだけうまくいかない状態で、こんなチャンスが来るとは思っていなかった。本当にやれることをやりたい」。夢舞台へのラストスパートだ。(編集部・桂川洋一)