33年ぶりのアマチュア優勝を遂げて雄たけび(Sean M. Haffey/Getty Images)

◇米国男子◇ザ・アメリカンエキスプレス 最終日（21日）◇PGAウエスト スタジアムコース◇カリフォルニア州◇7187yd（パー72）

快挙は思わぬ形で20歳のもとに転がり込んだ。終盤17番（パー3）、通算29アンダーの首位で並んでいたサム・バーンズのティショットは右に曲がって池へ。先に1打目をグリーンに乗せていたニック・ダンラップはダブルボギーをたたいた相手に2打差をつけた。

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最終18番に向かう際、「心拍数は最高潮。全てがスピードアップした感覚」になった。フェアウェイウッドでの第1打は大きく右に曲がった。後続1番手は先に28アンダーでホールアウトしていたクリスティアン・ベゾイデンハウト（南アフリカ）に代わり、リードは1打に。2打目も群衆が待つグリーン右サイドにこぼれた。

「これまで何度か試合でリードした経験はあったけれど、PGAツアーでのそれは全く違った。自分の思い通りになろうが、そうでなかろうが、とにかく学ぶつもりでいたんだ」。ウェッジショットはピンを1.8mオーバー。緊張感いっぱいで放ったウィニングパットがカップに沈むと、「カモン！」の雄たけびと一緒にガッツポーズを作った。

アマチュアがPGAツアーで優勝したのは1991年「ノーザンテレコムオープン」以来33年ぶり。史上8人目の栄誉に「こんな気持ちは感じたことがない。アマチュアでこんな経験ができるなんて最高だ」と夢見心地で語った。2021年「全米ジュニア」、23年「全米アマチュア選手権」で優勝し、タイガー・ウッズ以来の2冠に輝いたキャリアをいっそう華やかなものにした。

151万2000ドル（約2億2360万円）の優勝賞金はアマチュアのため受け取れず、2位のベゾイデンハウト以下のプロが繰り上がりで獲得した。現行の年間ポイントレース、フェデックスカップがスタートした2007年以降でアマ優勝は初の事例。優勝者へのフェデックスカップポイント500ptの付与はなく、ベゾイデンハウトは規定通り2位の300ptを獲得した。

アラバマ大の2年生はプロ転向すれば2026年シーズン終了までのフルシードを得られるが、決断を先送りにした。全米アマでの優勝により、今年の「マスターズ」、「全米オープン」、「全英オープン」の出場権を獲得済み。プロになれば「全米プロ」、第5のメジャー「ザ・プレーヤーズ選手権」に出られる。一方、アマとしての出場が認められている「全英」には参加できない。「僕だけの問題ではない。たくさんの人やコーチ、チームメートにも影響を及ぼす。たくさんの人と話してから決めたい」。どの道を選んでも、将来はきっと明るい。