藤田寛之が完全優勝!!/マンシングウェアオープンKSBカップ
ウイニングボールは、そっとポケットにしまった。かわりに、専属キャディの梅原敦さんから、それまでの17ホールで使用していたボールを受け取った。「みなさんの声援が、僕に勇気をくれたから」。感謝の気持ちを精一杯こめて、ギャラリースタンドに投げ込んだ。
ウイニングボールは、長男・大稀(ひろき)君の手に。1歳と9ヶ月。「まだ、何がなんだかわからないとは思うけど・・・」。ツアー5勝目をあげたら、絶対にプレゼントしようと決めていた。今は理解できなくとも、大きくなったらいつか大会のビデオを見せて、父親が成し遂げたこの完全優勝について、語り合いたいと思っている。
妻・優合子さんは、開催コースからそれほど遠くない、香川県坂出市の実家から車で40分かけて毎日、応援に来てくれた。まだ、家族の前で優勝シーンを見せたことがなかった。大稀君をしっかりと胸に抱いて迎えてくれた優合子さんの目に、うっすらと涙が浮かんでいたことは一生、忘れない。
「今日は、人生最良の日になりました」。プロゴルファーとして、父親として、家族の大黒柱として。雨煙る東児が丘の18番グリーンで、藤田がしみじみと喜びをかみ締めた。そのそばでよちよちと無邪気に遊ぶ大稀君の手には、父親のラッキーナンバー44が刻印された白球が、しっかりと握り締められていた。
トーナメントで起こったルール裁定の実例
<マンシングウェアオープンKSBカップ>
4日目、5番ホール、パー5のセカンド地点で競技委員要請があった。プレーヤーの主張は、「ティショットが左にあるカート路に落下して擦り傷がついたので球を取り替えてよいか」との事であった。
競技委員の裁定は、こすり傷程度なのでその球でプレーを継続するよう伝える。規則5-3「プレーに適さない球」には、球が切れたり、ひびが入ったり、変形しているのが見て分かる場合と記載してあるように、掻き傷やこすり傷、ペイントが剥がれたりした程度では、球の取替えは認められません。
読者の皆さん、この様なケースの場合は球を拾い上げる前に、マーカーか同伴競技者に球を調べる意思を前もって知らせ、球の位置をマークしなければ罰が付きますので注意してください。