「心苦しくて」 ツアー2勝目を追い求めて14年 木戸愛が“3・11”と亡き師匠に思うこと
◇日台女子ツアー共催◇台湾ホンハイレディース 事前(11日)◇オリエントG&CC(台湾)◇6720yd(パー72)
木戸愛は毎年3月11日になるといつも同じことを考える。「当り前じゃない。感謝しないといけない。歳を重ねるごとにその重さを感じます」
2011年3月11日。東日本大震災が発生した時、木戸は高知・土佐CCで「ヨコハマタイヤ PRGRレディス」初日をプレーした。地震発生の午後2時46分にコースで揺れを感じた記憶がない。当時プロ4年目の21歳。予選会で得たQTランクで「ダイキンオーキッドレディス」に出場できず、自分の“開幕戦”だった。「ホールアウトして、キャディさんが携帯を見て状況を教えてもらって…。周りもざわついていて」。宮城・東北高OGでもあり他人事ではなかった。津波の映像に言葉を失った。
その年、賞金ランク49位で初シードを決めた。翌12年「サマンサタバサレディース」でツアー初優勝を飾った。しかし、順風満帆ではない。19年に8シーズン連続で守ったシードを手放した。「2勝目がどんどん遠くなっていくのを感じた時期もありました。でも、絶対にあきらめない、チャレンジしたい。その思いはずっと変わらなくて」と言う。
今季は昨年12月に他界した師匠への思いもある。シード再奪取を逃したがメルセデスランク54位で復調の兆しを感じた24年オフ、35歳を目前に尾崎将司氏に弟子入りした。尾崎氏考案の“素振り棒”を渡されて「振れ!前で振れ!」と何度も言われた。昨季に16年シーズン以来の2位を2度経験、メルセデスランク38位で5シーズンぶりにシードを取り戻した。
15年前の出来事を「何もできていないことが心苦しいです。思っているだけじゃダメかもしれない。でも、絶対に忘れちゃいけないことだと思っています」と言う。昨夏、千葉のジャンボ邸で自宅から窓越しに練習を見てくれていた師匠に深々とお辞儀した日も忘れない。生真面目にゴルフと向き合ってきた木戸が、様々な思いを胸に今年こそ“結果”を出すつもりでいる。(台湾・桃園市/加藤裕一)