米国の中年の星 ケニー・ペリーがレギュラーツアーに別れ
米国男子ツアー通算14勝のケニー・ペリーが、オハイオ州ミュアフィールドビレッジGCで開催中の「ザ・メモリアルトーナメント」を最後に、レギュラーツアーから退くことを明らかにした。
8月に55歳になるペリーは、予選2日間を通算イーブンパーで終え、決勝ラウンド進出に1ストローク及ばなかった。週末を迎えることなくコースを後にし、長く主戦場としてきたツアーの舞台に別れを告げた。
「もう早起きするのにも疲れたよ。チャンピオンズツアーは一番早いスタートでも朝10時くらいだからね」。過去3勝を誇る同大会への出場は25回目だった。「悲しい気持ちはまったくない」と晴れやかに語り、今後はシニアツアーに専念する考えを示した。
2008年に今田竜二がツアー初勝利を飾った際、プレーオフを戦った相手でもあるペリー。「若い選手たちとプレーできて本当に楽しかった」と笑った。前週「AT&Tバイロン・ネルソン選手権」ではジャスティン・トーマス、ハリス・イングリッシュ、ブルックス・ケプカといった今が旬の若手選手たちと一緒にラウンド。「ホントに彼らは飛ぶからね。私はもう怯んでしまうよ。このツアーはどんどん若い選手が出てきている」。後輩たちのプレーに眼鏡越しの目を細めるベテラン。それでも彼自身のプライドは、別のところにある。
ケンタッキー州の田舎で生まれ、父ケンさんにゴルフを教わったが、レギュラーツアーのシード権を始めて獲得したのは26歳。当時既に結婚もしていて、子供も2人いた。
父には「僕はここで1勝できれば十分」と話していたという。初勝利を挙げたのは30歳の時、このザ・メモリアルトーナメントだった。通算3勝目までに、もう4シーズンを費やしたが、ペリーが本当に輝きを放ったのが、さらに年月が経った後だった。
40歳になってから飾った勝利数は11。そのうち5勝は47歳以降で手にしたものだ。48歳で戦った2009年「マスターズ」ではプレーオフに敗れての2位。ジャック・ニクラスが86年に樹立した46歳の最年長優勝記録更新を惜しくも逃している。
「30年近くこの世界にいられたことを誇りに思う。いつも『私は遅咲きなんだ』と話してきた。学生時代もそうだった。どんなことをしても、苦しんだし、人より時間がかかった」
父にいつも言われていたことがある。「自分を信じられなければ、成功することは決してない。お前には十分勝つ力がある。けれど自信を持てないままなら、きっとうまく行かない」。1984年の初出場から641試合、2138ラウンド。その言葉を信じつづけたレギュラーツアーのキャリアだった。(オハイオ州ダブリン/桂川洋一)
■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール
1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw