石川遼にコーチは必要か?
「HPバイロンネルソン選手権」で、ツアー2年目にして初優勝を飾ったベ・サンムンは、今年1月末の「ウェイストマネジメント フェニックスオープン」から、プロコーチのリック・スミスに師事し、自身のゲームに磨きを掛けてきた。
サンムンは「スイングも良くなったし、ショートゲーム、パッティング、バンカーショットも良くなりました。アリゾナからですが、時間が要りますね。すぐに良くはならない。でも、今は自信があります」と2日目を終えて話していた。
スミスは、特にスイングでの下半身の動きを修正したという。今までは体の正面に流れがちだった腰をしっかりと飛球線方向の動きに制限して、インパクトでクラブが働くスペースを確保する。それにより、今ではドローもフェードも好きな球筋が打てるようになったという。
普段は週に数度、今週は一週間帯同して、みっちりとサンムンのスイングをチェックし、結果的に勝利へとつながった。コーチの力がすべてでは無いのは当然だが、プラスに働いたことは否定できない事実だろう。
先週の「ザ・プレーヤーズ選手権」の会場では、14歳のグァン・ティンランがショーン・フォーリーの元を訪れた、という話を聞いた。今後、どのような関係になっていくのかは定かではないが、中国、韓国の選手が積極的に一流コーチを求める姿は、日本人とは少し思考が違うように感じられる。
ご存じの通り、父親がコーチである石川遼だが、もちろんプロのコーチではないし、普段のトーナメントに終始帯同している訳でも無い。そんな彼に、コーチは必要なのだろうか?
これまで、ジャック・ニクラス、フィル・ミケルソン、グレッグ・ノーマン、ローリー・サバティーニなど数々の有名選手を指導し、メジャーも含め80回~90回は優勝に絡んでいるというスミス。彼に石川がプロコーチと契約していないことを伝えると、「ああ、それは知っている」と言って、ひとつのエピソードを教えてくれた。
「僕は、ジャック・ニクラスとも10年近い付き合いがあるんだけど、ある時ジャックに聞いたんだ。『君はとても素晴らしいプレーヤーだけど、どうして僕が必要なんだい?』するとジャックはこう言った。『だって、自分自身を見ることはできないからね』」。(テキサス州ダラス/今岡涼太)
■ 今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka