海外勢への敗北、刺激、そして会得
「中京テレビ・ブリヂストンレディスオープン」を制したのは、首位の座を3日間守り抜く完全勝利を果たした李知姫。後続に3打差をつける磐石の試合運びで、頭1つ抜け出た実力の高さを見せつけた。韓国人というくくりから見れば、アン・ソンジュ(ワールドレディスチャンピオンシップサロンパスカップ)、朴仁妃(フンドーキンレディース)に続く3週連続の勝利。これは、09年に申智愛、全美貞、宋ボベが達成して以来3シーズンぶりのこととなる。
今季は11試合を消化し、韓国勢がほぼ半数の5勝。今週も同じ流れが続く中、その存在は日本人選手にも大きな刺激を与えているのも確かだ。特にこの日、最終組で直接対決を演じた服部真夕。そして、2日目の最終組をともにした森田理香子の若手2人は、間近で見た李のプレーについて賞賛を並べた。
服部は「最初にボギーが先行しても、チャンスにつけたのを必ず決めてくる。そのへんの差を、すごく感じましたね。最終日は伸ばさないと絶対にダメだし、そこは今後、頑張って修正しないと上は見えてこないと思います」。李のプレーを振り返りながら、追う立場でありながらもパープレーと伸び悩んだ自身のプレーを省みた。
また、最終日に「66」をマークしながらも、遠い背中に手が届かなかった森田。「全部が全部、良かったら知姫さんのところまで行けたと思う。“もっと練習しなさい”ということだと思います。精神的にも、もっと強くならなければいけない」と、静かに、そして真摯な表情で言葉を紡いだ。
韓国勢を含む海外勢の台頭に、日本女子ツアーを危惧する声も聞く。しかし、将来の女子ゴルフ界を担う若手たちに刺激を与え、向上心を高める良き存在になっていることもまた事実。海外勢の存在を糧とし、若手たちのレベルが、そしてツアーの魅力が向上する可能性も秘めているはず。現実となるか、否か。それは彼女ら、実力差を胸に刻んだ“敗者”たちが握っている。(愛知県豊田市/塚田達也)
■ 塚田達也(つかだたつや) プロフィール
1977年生まれ。工事現場の監督から紆余曲折を経て現在に至る。35歳を過ぎてダイエットが欠かせなくなった変化を自覚しつつ、出張が重なると誘惑に負ける日々を繰り返している小さいおっさんです。