チャン・チョン、失望と悲しみのメジャー制覇
国内女子最高峰の大会「日本女子オープン」で、初日から首位に立つと、そのまま一度もその座を譲らず、2位に5打差をつける圧勝でメジャー制覇を成し遂げた韓国のチャン・チョン。しかしこの大会で彼女が感じたのは、失望と悲しみだった。
「大会が終わって少し時間がたったので、やっと優勝の実感がこみ上げてきた」と、表彰式・写真撮影を終えて会見場に姿を見せたチョンは話し始めた。最終日は宮里藍とともに最終組でのラウンド。多くのギャラリーがこの組についたが、そのほとんどは宮里の逆転優勝を期待していた。「良いプレーをしても、ギャラリーが全然盛り上げてくれなくて、大きな大会を勝ったという実感がなかった」。チョンが獲得したタイトルの大きさと、彼女の心境との間には、痛いほどの開きがあった。
「バーディパットを決めても誰も拍手をしてくれない。パーパットを外すと『Good Job』と言われた」。これが、この日の現実だった。
宮里の帰国以来、米ツアーと日本ツアーの実力差が白日の下に晒されているが、今大会では再びその事が証明された。そして、その差はプレーヤーだけに留まらない。チョンは言う。「みんなゴルフを見に来ているんでしょう?ならば、良いプレー、良い選手にはもっと拍手をして欲しい」。大会期間中、幾度となく問題になった携帯電話での写真撮影など、観戦する人々のレベルアップも切実に求められている。
それならもっといいプレーを見せてやる!と、この仕打ちをモチベーションに変えたチョンには脱帽だ。「そのギャラリーが、私をこの(優勝インタビューの)席に座らせてくれている。ありがとうございます(笑)」。―――完敗だ。 (編集部:今岡涼太)
■ 今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka