2018年 マイナビABC選手権

寂しいスタートホール…ジャンボに映る風景と石川遼の思い

2018/10/26 21:00
スタートホールでティショットを放つ尾崎将司。レジェンドもツアーの現状を気に掛けるひとりだ

国内男子◇マイナビABC選手権 2日目(26日)◇ABCゴルフ倶楽部(兵庫県)◇7217yd(パー72)

「スタートの雰囲気とか、暗くて寂しいよね」。第2ラウンド途中で棄権した尾崎将司の一言が耳に残った。

尾崎は「オレのプレーは見せられないよ」と自身のゴルフに厳しい言葉を投げかけた。そして「日本のゴルフは、やはり遼(石川遼)が頑張らないといけないな。優勝争いをしてギャラリーを連れてきてくれないと」と話し、冒頭の言葉を続けた。

日本ゴルフトーナメント振興協会のまとめによると、今季の1試合平均のギャラリー数は1万5509人。尾崎が3勝を挙げた20年前の1998年の1万8854人に比べ、3300人以上減少している。

男子ゴルフ人気が隆盛を誇った時代の中心で、常に埋め尽くさんばかりのギャラリーに囲まれてきた尾崎。今でも尾崎の組には昔ながらのファンがつき、平日の予選ラウンドに比較的多くの観衆がスタートホールで待ち受けるが、この日のギャラリースタンドは満席とは言えない状況だった。

尾崎将司の言葉を受けて、選手会長の石川遼は何を思う

尾崎の言葉を伝えると、石川は言った。「自分の目標に向けてやっているだけなので、そう考えて下さるのはうれしい。もちろんギャラリーに入ってほしいし、視聴率も上がってほしい。練習をするしかないと思っています」

選手会長として、スタートホールでの新たな試みも練ってきたと明かす。「地元の小学生や中学生、高校生の放送部に入っている子どもたちにスタートアナウンスをやってもらうとか。地元の人たちと一緒になって、スタートホールを作れたらいいなと思っています」。まだ実現には至っていないが、ツアーを盛り上げたい一心で考えを巡らせている。

「ジャンボさんがツアーや僕のことを話してくれるのはすごくうれしいです」。いまもゴルフ界で絶大な存在感を誇る尾崎の言葉を重く、前向きに受け止めていた。(兵庫県加東市/塚田達也)

■ 塚田達也(つかだたつや) プロフィール

1977年生まれ。工事現場の監督から紆余曲折を経て現在に至る。35歳を過ぎてダイエットが欠かせなくなった変化を自覚しつつ、出張が重なると誘惑に負ける日々を繰り返している小さいおっさんです。

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