2012年 ザ・ロイヤルトロフィ

異例の“お祈りハーフタイム”影響は?

2012/12/14 20:22
最高齢コンビは唯一引き分けに終わったが、オラサバルキャプテンの狙い通り、欧州は休憩後に攻勢に出た。

ブルネイのエンパイアホテル&CCで開幕した「ザ・ロイヤルトロフィ」は初日、欧州選抜がいきなり大量リードを手にした。フォアサム形式のダブルスマッチプレー全4戦で3勝1分け。ポイント3.5対0.5と、その力を存分に見せ付けて2日目に入る。

この第1ラウンドが行われた14日はブルネイの国教イスラム教の礼拝日にあたる金曜日。そのため、選手たちはかねてから懸念されていた正午からの“お祈りタイム”のため、休憩を余儀なくされた。午前9時から第1組がスタートし、9ホールを終えた選手たちはその後クラブハウスに引き上げ。公の場での“仕事”は禁じられ、食事、トレーニングなどそれぞれが思い思いの時間を過ごした。

それでも、午後1時30分からドライビングレンジ、パッティンググリーンでの練習再開が可能になり、同2時からリスタートとなったものの、各組それぞれのハーフタイムは約3時間にも及んだ。ちなみに、この時間帯の試合会場は静まり返ったものの、屋内ではテレビ放送があったり、アイスクリームを普通に買えたりと、なんら不具合はなし。ヒジャブ(ベール)を被った女性たちが、祈りを捧げたりする姿も見られなかった。

ところで、試合展開に関して「影響は無かった」と話した選手も多かったが、欧州のプレーイングキャプテン、ホセ・マリア・オラサバルは、この時間こそが、勝負の分かれ目のひとつと読んでいた。

ヘンリック・ステンソンとのコンビで、石川遼ベ・サンムンのコンビを5&4と圧倒したゴンサロ・フェルナンデスカスタノは言う。「ラウンド中の休憩が欧州チームに力を与えてくれたと思うよ。ホセ・マリアは再開前のドライビングレンジで僕らに言ったんだ。『スタート後に仕掛けて、一気に行こう!』って。(第1組の)モリナリ兄弟は正午から最初の4ホールでポイントを獲ったし、うちのチームも4つ立て続けに勝った。アジアチームも決して悪いプレーじゃなかったけどね」。

同じようにアジア勢で影響を口にしたのは藤本佳則。前半を終えて1アップのリードをキープしていたが、後半インでそのエドアルド、フランチェスコの兄弟に逆転された。「3時間で流れを変えられてしまった。そのまま(休憩無しで)回れたら、違う展開になってたやろなぁとも思う」。体調不良のため、本調子には程遠い状況なだけに、一気に勝負を決めたかった気持ちもあるだろう。

確かに結果論。このハーフタイム、初日の勝敗に100パーセント影響したとは思わない。ただ、今年の「ライダーカップ」で大逆転勝利に導いたオリーの言葉だと、妙に納得してしまう。(ブルネイ・バンダルスリブガワン/桂川洋一)

■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール

1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw

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