46歳、鈴木亨の戦いは終わらない QT初参戦へ
年間25試合ある国内男子ツアーの24戦目「カシオワールドオープン」は、来年度のシード権を争う最後の戦い。シーズンの優勝者と国内賞金ランク25位以内の“エリート選手”だけが集う最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」を前に、重圧と独特の緊張感がKochi黒潮カントリークラブを包み込む。
2012年もそれは同じ。そして予選2日間が終了した23日(金)、決勝ラウンド進出を逃した選手の中には、早くもシード喪失が決定し、次週のファイナルQT参戦を決めた選手もいる。その中には46歳の鈴木亨の名前も。昨年末に賞金シード権を喪失し、今年はキャリアで1度だけ行使できる「生涯獲得賞金25位以内の選手」の権利で、21試合に出場。しかし、決勝進出は9試合に留まり、前週までの賞金ランクは85位。逆転の望みを持って高知に乗り込んだが、結局通算3オーバーの83位で姿を消した。
1993年から昨年まで現役選手としては最長となる18年連続でシード権を維持。そして今年、“切り札”も失った。昨年、首を故障してから陥った不振からの脱却はならなかった。「苦しい一年、良いことがなかった。色々立て直すことができなかったな。過労もある、試合に出続けていればね」。
だがこれでレギュラーツアーへの道を諦めるわけにはいかなかった。来週には来季の出場権をかけたファイナルQTに出場する。QT制度は1999年に日本ゴルフツアー機構(JGTO)が発足してからできたもの。40代も後半に差し掛かったところで、初参戦することになる。「初めての経験で、ドキドキ感がある…。でも新しい経験ができるわけだから。色々なことが頭をよぎるけれど、やるだけです」。この日のラウンド後、一番にこのエントリー用紙の提出を済ませたのは鈴木だった。
「自分の中ではモヤモヤ感がある。まだやれる、というのがある」。燃え尽きるにはまだ早い。「あれだけやったのにね。年はとってきたけれど、まだ64、65が出る。自分の中でやりきった感じがない。もうちょっと、頑張ります」。崖っぷちの挑戦にも、臆することなく立ち向かって行く。(高知県芸西村/桂川洋一)
<カシオワールドオープンで予選落ちし、シード資格を喪失した選手>
S.J.パク、冨山聡、額賀辰徳、鈴木亨、C.プラポール、河瀬賢史、佐藤信人、津曲泰弦(佐藤以外は既にファイナルQTエントリーを済ませた)
■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール
1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw