室田淳が3位浮上 最年長優勝記録更新は?
初日は丸山茂樹、2日目は伊澤利光。ビッグネームが久々の好スコアで会場を盛り上げている国内男子ツアー「ANAオープンゴルフトーナメント」。その3日目は、彼らのさらに上をいく大ベテラン、57歳の室田淳が優勝争いに加わってきた。
予選ラウンド2日間をいずれも「69」でまとめ、6アンダーの11位タイから出ると、序盤はショットをピンに絡めてスコアを伸ばした。「外さないところにアイアン(ショット)がついたね」。風の強くなった後半はチャンスがほとんど無かったが、トータル5バーディ、1ボギーの「68」。首位のキム・ヒョンソン(韓国)からは4打差、自身を含めなんと10人がひしめく3位タイグループに割って入った。
汗びっしょり。ホールアウト直後の室田は、ベージュの帽子のつばの部分が、色を濃く変えていた。「元気は無い。年だから」と言いつつも、「(リーダー)ボードを見て、気持ち良いなってね」と豪快に笑う。「ゴルフで感じるストレスは良い。ドキドキするからね。これがあるから良い。(すべてが)自分の思うように行ったら面白くない」。時にそのストレスが誤った方向に出た逸話も、室田にはある。それを反省しつつ「集中力を高めて、それを出すようなゴルフをしないと、プロじゃない。そこで計算したショットが出たら気持ちが良い」と話した。
昨年末にQTを受験し、出場可能な試合を選びながら参戦しているレギュラーツアー。秋には「日本オープン」参戦が決まっており、そして主戦場の一つであるシニアツアーでは「日本シニアオープン」の連覇がかかる。優勝争いの緊張感はレギュラーも、シニアも変わらない。「だって、ゴルフ場と戦ってるんだから」と若者に臆する気などさらさらない。
ただ、4打差を追う最終日を前に、逆転優勝については「それは無いです」とキッパリ言う。9シーズンぶりとなる通算7勝目は、2002年の同大会で尾崎将司が樹立した55歳7か月29日のツアー最年長優勝記録を塗り替えることになる。「あの記録はジャンボさんが持っていたほうが良い」と口にする表情は真剣だ。
それでも「中嶋(常幸)さんに『見たか!』ってね。書いといてよ。(中嶋は)予選落ちでしょ。そこらへんがライバルだから」と悪戯っぽく笑う。同世代との意地の張り合い。そんなものこそが、若さの秘訣かもしれない。(北海道北広島市/桂川洋一)
■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール
1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw