首位に2打差3位の冨山聡は“片山塾”で勉強中
三重県のTOSHIN Lake Wood Golf Clubで開催中の国内男子ツアーの第14戦「TOSHIN GOLF TOURNAMENT IN LakeWood」2日目。3アンダーの16位タイから出た冨山聡がコースレコードタイの「63」を叩き出し、通算14アンダー単独首位の津曲泰弦に2打差の3位タイに躍り出た。
出だしのピンチを切り抜けた冨山は勢いに乗った。1番、2番と2メートルのパーパットを残しながらも、いずれも落ち着いて沈めてなんとか無難なスタート。すると4番、6番のパー5を確実にバーディとすると、8番からは3連続。9、10番ではいずれも第2打をピンそば1メートルにつけるなど、ショットでチャンスを作り、9バーディの猛攻。ノーボギーラウンドで自己ベストスコアもマークし、ツアー初優勝へ向けて実りの一日となった
2001年プロ転向の33歳。昨シーズンにキャリア最高の賞金ランク80位となったが、なかなかシード権獲得に届かない。だが今季開幕前のオフ、同じ茨城出身という縁もあって片山晋呉の合宿に参加した。ツアー通算26勝の永久シード権保持者から受けた教えは、“目からうろこ”の連続。「基本的なことから」とグリップ、アドレスを一から見直し「大幅に変えました」と言う。
練習では片山のように様々な器具を使ってスイングを固めることも。だがここ最近の“宿題”はもっぱら「片手打ち」。ひたすら右手一本で15ヤード先の目標をめがけてクラブを振り続ける。「まだ左手まで行っていないんです。(右手打ちの)合格をもらわないと…」と苦笑いの中に充実感も浮かぶ。
打撃レンジで地味な単純作業に没頭する姿に、周りのプロからは「何か意味あるの?」と奇怪な目で見られることもしばしば。だが、その冨山を支えているのが「日本で一番上手い人に言われれば『こういうもんか』という感じでやっている」という、片山への信頼と自分のポジションを見極めた故の結論だ。
前週初優勝をマークした諸藤将次は小田孔明ほか、過去に2度賞金王に輝いた谷口徹との練習ラウンドでコントロールショットを習得中。ベテラン世代に突入する選手たちが培った熟練の技は後輩たちに連綿と受け継がれていく。(三重県津市/桂川洋一)
■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール
1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw