トーマス・ピータース(David Cannon/Getty Images)

今週はアントワープのリンクベンインターナショナルGCで、第2回「ベルギーノックアウト」が開催される。エキサイティングな方式で行われるこの大会について、開幕前に知っておくべき重要事項は次の通りである。

予選は2分割

「ベルギーノックアウト」最初の2日間は伝統的なストロークプレーで競技が行われ、一対一で行われるノックアウトラウンドへ進出する64人を決める。今年の予選ラウンドはフィールドが二分割され、それぞれのブロックの上位32人が週末へと駒を進める。各ブロックで最後のスポットに複数の選手が入った場合、それぞれのブロックで最後のイスを巡るプレーオフが行われ、各グループの上位32人が決定する。

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BKO

それぞれのグループの上位32人は予選ラウンドの成績に応じてシードされ、各組トップの選手が別組で32位に入った選手と対戦することになる。つまり、各グループをトップで通過した選手同士の対戦は、決勝で実現することになる。ノックアウトステージでのすべての対戦は9ホールのストロークプレーで行われる。いかなるリードも安全とは言えないため、この方式は興奮と好奇心をあおることとなり、すべてのマッチが最終ホールまで持ち越されることになる。9ホールで決着がつかない場合、決着がつくまでサドンデス方式のプレーオフが行われる。

1ホールで2ダウンから1アップの可能性

パットのコンシードや最大スコアがないため、ストロークプレーでの一騎打ちでは出し抜けに勝負の変わり目がやってくることがある。昨年の第1回大会では、この方式のエキサイティングな変動性が如実に現れたマッチがあった。ベスト16の対戦で、ビクトル・ペレスは残り3ホールの時点でオリバー・フィッシャーに2ストロークのリードを許していた。マッチプレーであればほぼ勝負は決まっているところだったが、「ベルギーノックアウト」ではそうはいなかい。驚くことに、ペレスはイエロコースのパー4の7番でフェアウェイからの第2打を直接カップインしたのである。このイーグルにより、彼はスコアを2オーバーからイーブンパーに戻すと、方や対戦相手のフィッシャーは同ホールをボギーとして、スコアをイーブンパーから1オーバーに落とした。わずか1ホールで一気に3打の変動があったこのホールで、フランスのペレスは2ダウンを1アップとし、その1打のリードを守り切って勝利した。さて、今年はわずか1打のスーパーショットで試合がひっくり返る場面が何度見られるだろうか。

決勝

昨年は、アドリアン・オタエギとベンジャミン・エベールが「ベルギーノックアウト」の決勝で顔を合わせた。両者ともに出だしの緊張感から1番をボギーとすると、2番ではエベールがバーディを奪って先にバウンスバックを果たした。その後、オタエギが4番でバーディを奪って追いつくと、両者ともに5番をパーとしたことで、勝負は後半のホールで決する展開となった。結果的にプロボクサーのごとくゴングに反応したのはスペインのオタエギで、3連続バーディを奪って2ストロークのリードで最終ホールを迎えた。最後まで落ち着いたプレーを見せたオタエギは、パーで決勝の勝利を決めた。この優勝はオタエギにとってヨーロピアンツアー2勝目となり、2017年に「ポール・ローリーマッチプレー」でツアー初制覇を果たした彼は、一対一の勝負強さをこの大会でも印象づける結果となった。

内輪事

ピータース・プロダクションが2年連続で「ベルギーノックアウト」のプロモーターとして帰ってくる。同社は「ライダーカップ」のスター選手であり、ベルギー出身のトーマス・ピータースの家族が経営している会社である。ピータース・プロダクションはトーマスの兄弟であるリーゼロッテ・ピータースとピータージャン・ピータース、そしてそれぞれの伴侶であるジェレミー・アンシオーとセリーヌ・ジェイコブス、さらには両親のジャックとベロニク・ピータースが携わっている。母国開催で自身も発展に寄与した大会であり、さらに同胞のトーマス・デトリーと組んで「ISPSハンダ メルボルンゴルフワールドカップ」を制覇しているだけに、今週ピータースが大声援を受けるのは間違いないだろう。デトリー、そして“メダイナの奇跡”と呼ばれた「ライダーカップ」に出場したニコラス・コルサーツも、今週はフィールドに名を連ねている。