ドバイでの終幕はマキロイとサリバンによる最終決戦へ
ロリー・マキロイは「レース・トゥ・ドバイ」制覇へ向けジュメイラ・ゴルフエステーツで最高の位置につけたが、「DPワールドツアー選手権」2勝目を手にするにはアンディ・サリバンをかわさなければならない。
2012年の大会王者であるマキロイは、好調の波に乗った3日目を「65」でラウンドし、首位に立つサリバンとの差を僅か1ストロークまで縮めると共に、欧州ナンバーワンの座を懸けて競い合うダニー・ウィレットとの差を4ストロークに広げた。
今季ヨーロピアンツアーで4勝目を狙うサリバンは上がり4ホールで2つのバーディを奪うなど、3日目を「68」でラウンドし、通算16アンダーとして、「ポルトガルマスターズ」以来ここ6週間で2度目となるワイヤー・トゥ・ワイヤーでの優勝へ王手をかけた。
一方、「レース・トゥ・ドバイ」で1613ポイント差の2位につけているウィレットは、北アイルランド出身のマキロイによる3度目の欧州制覇を阻止するには、最終日に4打差を逆転し、マキロイよりも上の順位で大会を終えなければならない。
パトリック・リードは首位から3打差の単独3位につけており、通算12アンダーにアン・ビョンフンとエミリアーノ・グリージョ、そして更に1打後方にはウィレット、マシュー・フィッツパトリック、トンチャイ・ジェイディーの3人が続いている。
しかし、何と言ってもこの日のヘッドラインを飾ったのはマキロイで、この土曜日は更に低いスコアで回ることも可能だったとした上で、26歳の彼は何としても今季ヨーロピアンツアーの3勝目を?み取りたいと明かした。
「今年はあとこれを残すのみだから」とマキロイ。「僕にとって今年最後のラウンド、そして今季最後のラウンドだから、絶対ものにしたいね。もう1打良いスコアで最終ラウンドに臨めれば更に良かったけれど、まだ全力を尽くしてプレーするチャンスは1ラウンド残されているからね」。
「『レース・トゥ・ドバイ』を制し、この大会で勝利してもう1勝挙げ、良い気分でクリスマス休暇を迎えることができれば、それが意味する物はかなり大きいからね」。
「4勝でシーズンを終えることができれば、それだけでも良いシーズンだったと言うことができる。でも、『レース・トゥ・ドバイ』を制覇するとなると、たとえ今季は自分の望むようなシーズンではなかったとは言え、あすはこの上なく良い心持ちでここを後にすることができるだろうね」。
「きょうは凄く良いプレーができた。5ホールを終えて5アンダーでもおかしくないくらいだった。ショットが本当にすばらしかったね」。
「きょうは全てにおいて好調で、それ故、『65』でコースを後にすることを少し残念に感じているんだ。『62』、あるいは『61』くらいは出せてもおかしくない出来だったからね」。
「でも、あすへ向け最高の位置につけてはいるけれどね」。
1番で難なくバーディを奪ったマキロイは、583ヤードのパー5の2番ホールをドライバーと6番アイアンの2打でグリーンに到達すると、3日連続でこのホールをバーディとした。
これによりマキロイは二桁アンダーの大台に乗せたが、サリバンは世界3位のマキロイによる追撃に動じることなく、トレードマークの笑みを絶やさず2番でバーディを奪って同組のグリージョとの差を2ストロークに広げた。
マキロイは4番でもバーディを奪い、アルゼンチン出身のグリージョと並び、首位との差を2打に詰めると、サリバンはガードバンカーに捕まったパー3の4番で今週2つ目のボギーを叩いたため、その差は1ストロークまで縮まった。
それでも首位に立つサリバンは続く5番で3.6メートルのバーディパットを沈め、今週ずっと彼を後押しする地元から駆けつけた大応援団の声援に応えた。
しかし、マキロイは追撃の手を緩めず、パー5の7番でバーディを奪い、再び首位から1打差に詰め寄った。
この2人による首位争いは打ち合いの様相を呈し、サリバンも7番でパー5の利を活かして2パットのバーディを奪った。それでもマキロイは容赦ないゴルフを展開し、「32」で前半を終えると、10番では2打目の美技からバーディを奪って再び首位との差を詰めた。
ウィレットはおとなしいゴルフで前半を「35」とするも、14番でバーディを奪うと、ワンオン可能なパー4の15番ではイーグルを奪って一気に通算10アンダーまでスコアを伸ばした。
マキロイは12番をボギーとしたため、「レース・トゥ・ドバイ」の覇権を懸けたウィレットとの争いは再び鼻の差となるかに見えたが、ここからメジャー4勝のマキロイは圧倒的なゴルフでバウンスバックを果たした。
サリバンが8番から6ホール連続でパーとするなか、13番と14番でバーディを奪ったマキロイは、続くパー4の15番では3番ウッドのティショットで280ヤード飛ばしてグリーンを捉え、3連続バーディとして首位の座についた。
一方、ウィレットは最終ホールでバーディを奪い、後半を「32」とし、3日目を「67」でラウンドして、「レース・トゥ・ドバイ」制覇へ望みを繋いだ。
「今週の初め、僕は日曜の残り9ホールのところで上位につけていたいと言っていたよね」とウィレット。
「どうやら、そこまで差をつけられない展開になりそうだね。2、3打差のところにつけていれば、何が起こるか分からないよ」。
「良い一日だったね。とは言えグリーンでは今ひとつだった。15番でイーグルを奪った12メートルのパットは例外だったけれど、あれを除けば、良いショットをたくさん打ちながらそれを活かし切れない感じだった」。
「それでも踏ん張り続けたし、リーダーボードで状況を確認し、他の選手が良いスコアで回っていると知ったことが助けになったと思う」。
しかし、この日、マキロイをリーダーボードの天辺から引き摺り下ろしたのはもう一人のイングランド人選手だった。サリバンは先ず15番で3メートルのバーディパットを沈め、連続パーを7ホールで切り上げて首位に並んだ。
すると、28歳のサリバンは17番で6メートルのバーディパットを沈め、大応援団が彼の名をコールするなか再び単独首位の座を手にしたのに対し、マキロイは最終ホールでバーディパットを外して首位タイに浮上する機会を逸したのである。
今季は好調ながらも、日曜の午後はアンダードッグの立場になるだろうと断言したサリバンだが、2勝した南アフリカ、そして数週間前に勝利を挙げたポルトガルに続く勝利への確信は全く揺らいでいない。
「これまで通りのパットを続け、良いショットを打つことができれば、優勝できると思う。自分のことを信じているから、とにかくやってみるけれど、良い一日になると思うよ」とサリバン。
「僕にプレッシャーはかかっていないんだ。僕は勝つと思われていないよね。僕は自分のゴルフがプレーできるんだ。誰も、あす僕が彼(マキロイ)を打ち負かすなんて思っていないからね」。
「だから僕にとっては良い位置につけているよ。1打先行しているからね」。
「とても冷静にプレーできたよ。ラウンドの中盤は少しフラストレーションを感じたけどね。きょうはそこまですばらしいゴルフではなかったから。上がり数ホールはパットに助けられたと思う」。
「きょうのプレーで『68』は御の字だよ。昨日は断然良いプレーをしたのに2打しか変わらないのだからね」。
プレーオフで敗れた先週の「BMWマスターズ」で3大会連続トップ10入りを果たすなど目下好調のリードは、3日目を6バーディ、2ボギーでラウンドし、単独3位につけている。
アンも好調の波に乗る選手の一人で、彼はこの日を7バーディ、1ボギーの「66」でラウンドし、通算12アンダーまでスコアを伸ばした。これでアンはファイナルシリーズでの通算スコアを68アンダーとしている。
グリージョは3日目「71」ながらも、上がり4ホールを4連続バーディとして、最近の米PGAツアーとウェブドットコムツアーで挙げた優勝の勢いを持続させた。
ウィレット同様、15番でイーグルを奪ったフィッツパトリックは3日目を「68」でラウンドし、サー・ヘンリー・コットン年間最優秀新人賞を争うアンに引き続きプレッシャーをかけている。
最終ホールをボギーとしたジェイディーは「69」で3日目をラウンドして、日曜は通算11アンダーのグループから上位進出を狙うこととなり、その1打後方にはブランデン・グレースとシャール・シュワルツェルの南アフリカ勢が、そして2打後方にはフランチェスコ・モリナリとクリス・ウッドが続いている。