2021/04/14進藤大典ヤーデージブック

【進藤キャディ手記】“救われた”かつての相棒 松山英樹へ「ありがとう」

まさに松山英樹選手の真骨頂を見せてもらいました。トーナメントリーダーで迎える最終日最終組。世界中のゴルファーが憧れてやまない「マスターズ」の舞台です。日本の悲願を背負い、誰も想像できないプレッシャーを感じていたと思います。その中でも堂々と、風格すら感じる王者にふさわしいプレーでした。 4日間を通じてスイングのフィニッシュが崩れる場面もありましたが、しっかりとフェアウェイを捉え続けていました。それこそが、いま松山選手が目指すスイングができつつある証拠なのではないでしょうか。 昨年12月に2人でラウンドしたときのことです。11月開催だった「マスターズ」以来と話していたラウンド中、目澤秀憲コーチとス...
2021/03/23進藤大典ヤーデージブック

「四十にして惑わず」と言うけれど…マット・ジョーンズの“岐路”

「ザ・ホンダクラシック」を制したマット・ジョーンズ(オーストラリア)のプレーには驚かされました。特に難度が高い15番からの3ホール=通称ベアトラップを含め、プレッシャーがかかる場面でもショットのテンポがまったく乱れませんでしたね。 シーズン通算でストロークゲインド・パッティングが29位(+0.54)とパットに秀でた選手ですが、最終日はグリーンを外したのが前半7番(パー3)の1ホールだけ。ショットの貢献度を示すストロークゲインド・ティ・トゥ・グリーンは4日間で「+14.301」を記録し、堂々の1位。後続に5打差をつけての逃げ切りは、とても7年ぶりのツアー2勝目とは思えないほどの横綱相撲でした。 ...
2021/03/09進藤大典ヤーデージブック

“根拠ある自信” デシャンボーはただの飛ばし屋にあらず

僕がキャディだったら、心の中で「ラッキーだな」とつぶやいていたと思います。「アーノルド・パーマー招待」最終日の後半16番。首位に立つブライソン・デシャンボーのティショットは左のフェアウェイバンカーのアゴにくっついてしまいました。 2打目は出すだけ。ベイヒルクラブ&ロッジの中でも特にタフな17番と18番の直前、バーディが欲しいパー5です。普通に考えれば、ものすごく痛い。 しかし、これがラフに入っていたり、フェアウェイバンカーの悪くないライに止まっていたとしたら…。優勝争いの緊張感は極限状態。池越えの危険度が上がっても、無理してグリーンを狙っていきたくなるもの。池に入れるリスクをゼロにしつつ、10...
2021/02/16進藤大典ヤーデージブック

“一匹狼”ダニエル・バーガーを変えたケガ

朝からすごいショットを見ました。「AT&Tペブルビーチプロアマ」を制したダニエル・バーガー。最終18番(パー5)は前日OBでダブルボギーをたたいたホールでした。加えて最終組の1組前をプレーし、マーベリック・マクネリと並ぶトップタイというシチュエーション。想像を絶するプレッシャーがかかっていたはずです。 左サイドに広がる海を避けようにも、狭いフェアウェイの右サイドにそびえる1本の木が厄介なポイント。実際、最終組のトム・ホジーも、この木の枝に引っ掛かったボールを見つけられずに紛失球で打ち直していましたね。美しい景色が広がるペブルビーチですが、ティイングエリアに立つと、映像からはわからない威圧感に襲...
2021/04/20進藤大典ヤーデージブック

親子タッグの恩恵 スチュワート・シンクは“ピりつかない”

スチュワート・シンクが「RBCヘリテージ」で今季2勝目を挙げました。47歳以上でのシーズン複数回Vは1960年以降でサム・スニード、ジュリアス・ボロス、ケニー・ペリー(2度達成)に次ぐ4人目のレアケース。2020―21年シーズンに2回以上優勝しているのが稀代の飛ばし屋ブライソン・デシャンボーとベテランのシンクだけというのも面白い現象です。 昨年9月の開幕戦「セーフウェイオープン」で2009年「全英オープン」以来となる優勝。復活を印象付けていたとはいえ、予選ラウンドで「63」をそろえて36ホールの大会最少ストローク記録を更新。若手に負けない爆発力を見せつけた後、週末はリードを生かして逃げ切るクレ...
2021/01/26進藤大典ヤーデージブック

“韓国版”松山英樹!? キム・シウーは練習の鬼

現在はイム・ソンジェの活躍が目覚ましい韓国勢。僕が松山英樹選手のキャディとしてPGAツアーを戦っていたときに次世代のエースと目されていた選手がいました。それが「ザ・アメリカンエキスプレス」で優勝したキム・シウーです。 2017年に「ザ・プレーヤーズ選手権」を勝ったときは、まだ21歳。史上最年少で“第5のメジャー”とも呼ばれる大舞台の頂点に立ちました。その5年前にはPGAツアーの最終予選会を史上最年少の17歳5カ月6日で通過。4年ぶりのタイトルは、どれだけすごいスピードで階段を駆け上っていたのかを実感させます。 とにかく練習をする選手です。韓国版の松山選手と言ってもいいほどのすさまじい練習量。本...
2021/02/09進藤大典ヤーデージブック

うれしい“ナイスガイ”ケプカの復活V ライバルたちは戦々恐々!?

PGAツアー随一の観客動員を誇るモンスタートーナメント「ウェイストマネジメント フェニックスオープン」。コロナ禍で1日あたり5000人の来場制限をかけての開催でも、試合は激アツでしたね。 PGAツアーの黄金世代となるジョーダン・スピース、ザンダー・シャウフェレ、ジャスティン・トーマスが上位にひしめくリーダーボード。3日目に「61」を出したスピースにはしびれました。魔法がかかったようにパットを決めまくってギャラリーを熱狂の渦に巻き込み、ゲームを支配していく姿は頂点を極めたころとダブります。完全復活を期待せずにはいられません。 かつての世界ナンバーワンのカムバックといえば、やはり優勝したブルックス...
2021/01/19進藤大典ヤーデージブック

飛距離以外“オール5”のケビン・ナ 4季連続Vの陰に名参謀アリ

2017年にはジャスティン・トーマスが72ホールの最少ストローク記録を更新する「253」を出したように、ビッグスコアが続出する「ソニーオープンinハワイ」。 例年通りの伸ばし合いが展開される中、ケビン・ナが4シーズン連続となる通算5勝目を挙げました。後半12番で3パットボギーを喫した直後に3連続バーディ。パー5の最終18番も獲ってライバルたちを振り切りました。 7044ydと比較的短いワイアラエCCですが、つくりはタイトでショットメーカー向き。特に14番から左ドッグレッグのホールが続き、ドローヒッター有利となるロケーションをしっかり生かしての勝利だったと言えます。 松山英樹選手が初優勝した2...
2019/05/09進藤大典ヤーデージブック

終盤の難関パー3 “オーガスタ並み”の傾斜を読め

トリニティフォレストGC 17番パー3(215yd) 1944年に始まった「AT&Tバイロン・ネルソン」はテキサス州ダラスで行われる伝統のトーナメント。2018年から会場をトリニティフォレストGCに移して開催されています。14年にできたばかりのコースですが、米国内では一風変わったリンクスを思わせるつくりで、これまでの会場とは一線を画すものになりました。 終盤の17番(パー3)は215ydとしっかり距離があるだけでなく、難しさがふんだんに詰まっています。ティから2ydとわずかに打ち上げのホールの特徴は、何といってもグリーンの傾斜の大きさにあります。 まずはフロントエッジの少し手前から、グリーン...
2019/04/25進藤大典ヤーデージブック

バーディ必須の最終ホール ダブルス戦の注目ペアは

TPCルイジアナ 18番パー5(586yd) 「チューリッヒクラシック」は米ツアーで唯一のダブルス戦です。80ペアが出場し、フォアボール(各選手が自分のボールでプレーし、各ホールでペアの良い方のスコアを採用)、フォアサム(ひとつのボールをペアで交互に打ってプレー)のストロークプレーを予選、決勝いずれも1ラウンドずつ行います。2017年からこの新しいフォーマットに変わりました。 バーディ合戦、スコアの伸ばし合いがこの試合の特徴になります。一昨年の優勝スコアは通算27アンダー(プレーオフ)、昨年も22アンダーでした。今回ピックアップした最終ホールの18番(パー5)は、上位進出のためにはバーディが欠...
2019/05/02進藤大典ヤーデージブック

恐怖の“グリーンマイル”へようこそ 500yd超の難関パー4

クエイルホロークラブ 16番パー4(506yd) ノースカロライナ州シャーロットにあるクエイルホロークラブは、リゾート内に巨大なお屋敷が立ち並び、“名門中の名門”という雰囲気を醸します。「ウェルズファーゴ選手権」では過去にロリー・マキロイ(北アイルランド)やリッキー・ファウラーがPGAツアー初優勝を遂げ、2017年「全米プロ選手権」ではジャスティン・トーマスがメジャー初制覇。そして当時、松山英樹選手が惜しくも敗れたコースです。 難所は“グリーンマイル”の異名を持つ上がり3ホール。ツアーの中でも毎年難度の高い「連続する3ホール」として有名です。その入り口、16番を今回はピックアップしました。 ...
2019/02/14進藤大典ヤーデージブック

帝王が認めた“世界最高のパー4” ティショットの狙いは

■リビエラCC 10番パー4(315yd) ◇米国男子◇ジェネシスオープン 事前情報◇リビエラCC(カリフォルニア州)◇7322yd(パー71) ロサンゼルス郊外にあるリビエラCCの名物ホールはその昔、ジャック・ニクラスが“世界最高のパー4のひとつ”と称したホールです。ティからはわずか315yd、打ち下ろしのロケーションですが、攻め方の選択肢が多いため、頭をフル回転させなくてはなりません。 まずはティショットで「刻む」か「狙う」かの決断を迫られます。「刻む」を選んだ場合、ベストポジションは211ydのバンカーを越え、ラフに入る247ydまでの間のフェアウェイ。トッププロはロングアイアンでも打て...
2019/01/31進藤大典ヤーデージブック

飲むか飲まれるか スタジアムホールの難敵は「風とブーイング」

■TPCスコッツデール 16番パー3(163yd) ◇米国男子◇ウェイストマネジメント フェニックスオープン 事前情報◇TPCスコッツデール(アリゾナ州)◇7261yd(パー71) ホールの全周をギャラリースタンドが囲む、PGAツアー名物・スタジアムホール。ビールを飲みながら大いに盛り上がるパー3には、選手にとっては巧妙なワナが待ち構えています。 まるで野球場やサッカー場のような作りになっているため、スタンドに邪魔をされてティショットの前に風を感じることができません。テントの最上段に立っている星条旗がもう少し高い位置にあればいいのですが…。特にフォローの時には要注意。ティで感じるよりも強く吹い...
2019/03/27進藤大典ヤーデージブック

テキサスの風と勝負 マッチの流れを左右する危険なパー5

■オースティンCC 12番パー5(578yd) フロリダシリーズを終えて、ツアーはテキサス州に移動します。4月のメジャー初戦「マスターズ」まではあと2週。トップクラスの選手たちが世界選手権という大舞台でマッチプレー戦を繰り広げます。 テキサス州にあるオースティンCCは毎日と言っていいほど、強風が吹き荒れます。風向きも強さも一定でないのでその都度、冷静な判断が必要。今回注目するのはコロラド川に近く、その風の影響も受けやすい12番です。マッチプレーは最終18番までに勝負が決まることも多く、だからこそバックナインに入った直後の流れが重要になります。このパー5は、バーディはもちろんイーグルも出ますが、...
2019/03/14進藤大典ヤーデージブック

PGAツアーの名物パー3 浮島グリーンは究極の距離感テスト

■TPCソーグラス17番パー3(137yd) 世界最高峰のゴルフコースにはそれぞれ名物パー3があります。PGAツアーではやはり「マスターズ」が行われるオーガスタナショナルGCの12番、「ウェイストマネジメントフェニックスオープン」開催のTPCスコッツデール16番、そして今週の「プレーヤーズ選手権」の舞台TPCソーグラスの17番が“ベスト3”といえる有名ホールではないでしょうか。 上記3つのパー3で共通しているのが、距離が決して長くないという点です。ソーグラス17番の表記は137yd。カップが手前に切られた時は110から120yd、奥の時も140yd弱しかありません。ウェッジ、ショートアイアンを...
2019/03/21進藤大典ヤーデージブック

スネークピットをかいくぐれ 悲劇を生む最終グリーン

■イニスブルックリゾート18番パー4(445yd) フロリダ州タンパ近郊のイニスブルックリゾートは、前週「ザ・プレーヤーズ選手権」が行われたTPCソーグラスからは自動車で約4時間。2週前の「アーノルド・パーマー招待」の会場ベイヒルクラブ&ロッジからは約2時間のところにあります。今週の「バルスパー選手権」は今年からフロリダシリーズ4連戦の最終戦になりました。 当地の名物はスネークピット(蛇の穴)の愛称を持つ16番からの上がり3ホール。今回はその締めくくりである18番をピックアップします。 第1打はフラットですが、290yd地点から急激にフェアウェイが狭くなるのが最初の特徴です。両サイドの深いバ...
2019/05/16進藤大典ヤーデージブック

“ドS”のブラックコース 最終18番は短くてもワナがたくさん

ベスページ州立公園ブラックコース 18番パー4(411yd) 2019年からメジャー第2戦は「全米プロゴルフ選手権」。プロゴルファーだけによる最高峰の戦いが16日(木)に始まります。例年の大会は4つのメジャーの中で最もロースコアが出るイメージがありますが、今年に限ってはそうはいかない予感がします。 ニューヨーク州のロングアイランドにあるベスページ州立公園ブラックコースは初心者・中級者お断り、まさに“ドS”クラスの世界一難しいパブリックコースとして知られています。 中でも注目すべきは最終18番。数字だけ見ると411ydと短いパー4ですが、ご覧ください、この歪(いびつ)な形をしたバンカー群…。テ...
2019/05/23進藤大典ヤーデージブック

伝統コースのスタートホール イーグル…アルバトロスのチャンスも?

コロニアルCC 1番パー5(565yd) タイトルスポンサーが今年替わった「チャールズ・シュワブチャレンジ」の舞台はテキサス州のコロニアルCCです。ツアー通算64勝のベン・ホーガンが生前、拠点のひとつにしたコースはコンパクトなつくりで、毎年ショットメーカーが試合を有利に進めています。 ピックアップしたのは1番ホール。距離が決して長くないため、イーグルも頭に入れたいパー5です。2018年大会で小平智選手は初日にアルバトロスを達成しました。一日の流れをつかむためにも、バーディは確保したいところです。 ティショットが非常に重要です。軽い右ドッグレッグとなるため、1Wでまっすぐ打つと左のバンカーに入...
2019/02/28進藤大典ヤーデージブック

最後まで気が抜けない ベアトラップの水難ホール

■PGAナショナル・チャンピオンコース16番パー4(434yd) ジャック・ニクラスが1990年に改修に加わったPGAナショナル・チャンピオンコースが、フロリダスイングの始まり。特に15番からの連続する3ホールは難度が高く、“ベアトラップ”の異名を持ちます(ベア=熊/ニクラスの愛称、トラップ=罠)。今回ピックアップするのは右ドッグレッグの16番パー4。すべてのショットに高い精度が求められます。 まずはティショット。アゲンストの風が吹くことが多く、右サイドのハザードを避けることを最初に考えます。飛ばしすぎると池がせり出てフェアウェイが狭くなるため、求められるのは正確性。右のフェアウェイバンカーを...
2019/02/21進藤大典ヤーデージブック

タイトな“入り口”が難関 標高差攻略は計算勝負

■チャプルテペクGC 1番パー4(316yd) 年の最初の世界選手権シリーズ(PGAツアーのスケジュールでは、前年秋のWGC HSBCチャンピオンズに続くシーズン2戦目)がメキシコに移ってから3年目。ピックアップするのは、両サイドに木がせり出している狭いスタートホールです。 ティエリアからグリーンまでは11ydの打ち下ろしになり、距離も316ydしかありませんが、右サイドは272yd、左は278ydでそれぞれバンカーに入ってしまいます。ピンまで40yd前後の中途半端なバンカーショットは、プロでも難しいもの。打ち方はエクスプロージョンショットになりますが、SWではなくAWを使うケースも多くなりま...