2024/11/01三菱ケミカル特集

大里桃子の復活Vを決定づけた変化とこだわり

変えるものと変えないもの――。女子ゴルフ界“黄金世代”の一人、大里桃子が6月の「宮里藍サントリーレディスオープン」で復活のツアー通算3勝目を飾った。 昨年は極度の不振に陥り、プロ転向後、初めてのシード落ちを経験。クラブを替え、球筋を変え、トレーニングを変え……。変化を恐れず、スランプを乗り越えた大里が変わることのない信頼を寄せ続けたのは、ジュニアのころから慣れ親しんだ三菱ケミカルのシャフトだった。 体調不良から始まった小さな違和感 不振のきっかけは一昨年、2022年の夏に遡る。トーナメント欠場には至らない程度の体調不良。試合と試合の間で数日、安静にすることで体調は戻ったが、小さな違和感を覚えた...
2022/12/21ダンロップ特集

ツアーレップが見た松山英樹が「スリクソン」で快挙達成するまで

テレビ画面の向こうの光景を、現実と捉えるまでには少し時間がかかった――。 2021年4月、日本は新しい週の朝を迎えていた。「いまだに信じられないような気持ち。本当に…こんなことがあるのかなって」。松山英樹が母国に初めて男子メジャータイトルをもたらした「マスターズ」。抱えてきた思いは、涙になってあふれ出た。 プロゴルフを支える多くのスタッフの中に、“ツアーレップ”と呼ばれる人々がいる。日本全国、世界各国で行われるゴルフトーナメントに足を運び、プレーヤーに自社メーカーのクラブやボールを供給したり、会場内で調整したりする“職人”たちのことだ。住友ゴム工業(ダンロップ)の宮野敏一(敬称略、以下同)は、...
2023/03/24ダンロップ特集

「ボールは1つ」つくる難しさと面白さにのめり込んだ開発者のこだわり

ゴルフボールは「特許の塊」といわれる。白いカバーはもちろん、内側のコア(中心部)にも多くの技術が注ぎ込まれているからだ。 同時に、開発者たちの試行錯誤や熱意も込められている。毎年のように生み出される新作の開発にあたる者はどんなことを考えているのか。 研究者気質で “つくる側”へ 直径4センチ強のゴルフボール。「クラブを替えてもボールは(基本的には)1つ。全番手に影響する」。住友ゴム工業スポーツ事業本部商品開発部の井上英高(敬称略、以下同)はそれがゴルフボール開発の面白さであり、同時に難しさであるという。 東京工業大学大学院で炭素繊維の研究をしていた井上は先輩に誘われてゴルフを始めた。「まったく...
2023/03/06フジクラ特集

復活期す永峰咲希 クラブもシャフトも座学から

国内女子ツアーの新シーズンが開幕。今年も熱き戦いが始まった。そんななか、復活を期す選手のひとりが、ツアー2勝の永峰咲希だ。2020年に「日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯」でメジャー初制覇したものの、昨シーズンはトップ10入りが1度だけと、苦しいプレーが続き、メルセデスランキング65位でシード陥落。今年はメジャー優勝で得た3年シードを行使してのツアー参戦となる。 4月で28歳。若手ゴルファーの躍進が続く現在のツアーの中では“ベテラン”という言葉もちらつき始めるが、まだまだ進化の過程。スイング、コースマネジメント、クラブ・シャフト選びなど、さまざまな面で新たな知識を吸収し、強さを取り戻そうとして...
2022/02/11フットジョイ特集

「日本ツアーで最も飛ばす男」も納得 シューズでゴルフは変わるんだ

国内男子ツアー2020-21年シーズンで賞金ランキング39位に入り、28歳で初めてシード権を手にした幡地隆寛。平均飛距離では初の1位(313.04yd)となり、持ち味とするパワーでゴルフファンに存在感を印象付けた充実のシーズンとなった。 体の捻転差を意識したスイング改造だけでなく、シーズン途中でのシューズ変更も、納得のパフォーマンスを発揮できた要因だという。シューズがツアープロにもたらす変化とはどのようなものだろう? 幡地に真意を聞いた。 希薄だったシューズへの意識 好調や復調の理由についてスイングやクラブの調整を挙げる選手は多いが、シューズの話題を持ち出すことは珍しい。かつて、鈴木愛が賞金女...
2021/10/18日本シャフト特集

最新ヘッドの性能を引き出す新定番「N.S.PRO 850GH neo」 標準シャフトに採用したメーカーの評価とは?

日本シャフトは2022年春、軽量スチールシャフトの最新モデルとして「N.S.PRO 850GH neo」を発売予定だ。それに先駆け、21年秋から各クラブメーカーの最新アイアンに同シャフトが採用されている。シャフト単体での発売前に、各メーカーが採用したのはなぜか。その理由をクラブメーカーの担当者に聞くと、「N.S.PRO 850GH neo」の性能が見えてきた。 ブリヂストンゴルフの飛び系 ニューアイアン「213HF」 ブリヂストンゴルフは、9月に発売したアイアンシリーズ「213HF アイアン」に「850GH neo」を採用している。 「213HF アイアン」は、7番でロフト角が28度の、いわ...
2021/08/30日本シャフト特集

「創業60年の伝統を未来につなぐ」 社長が大事にする積極的な会話術

<ゴルフシャフトの“新定番”を生み出す熱きリレー> ゴルフクラブの性能を語る際、ヘッドと同様に重要なのがシャフト。求める弾道やスイングを作る上で、最適なものを使うか使わないかで、全く変わってしまう。そのシャフトを完全国内生産で製造する唯一の総合シャフトメーカーが日本シャフトだ。 1959年に「ばね」の世界トップメーカーであるニッパツのグループ企業として誕生。「N.S.PRO」シリーズなど、世界的にも評価されるヒット商品の数々を世に送り出している。 ヒット商品を生み出す会社の雰囲気 ひと昔前まで、「N.S.PRO 950GH」のイメージが強かった日本シャフト。ただ、ここ数年は「N.S.PRO M...
2023/10/31三井住友カード特集

次の半世紀へ 歴代覇者・宮瀬博文が語る太平洋クラブ御殿場18番の記憶

今年で51回目を迎える「三井住友VISA太平洋マスターズ」。舞台となる太平洋クラブ御殿場コースの18番(パー5)では毎年のように記憶に残るドラマが生まれてきた。1999年大会の優勝者であり、近年は同大会テレビ中継のオンコースリポーターを務める宮瀬博文とともに大会の歴史と名場面を振り返る。 ■シニアツアー3年目、初優勝を目指して戦う日々 宮瀬がレギュラーツアーで初優勝を挙げたのは1997年のこと。それから26年が経った現在はシニアツアーで初優勝を目指して奮闘している。 「シニア1年目(2021年)に何度かチャンスがあったのに勝てなくて、あそこで1つ勝っていれば、その後の流れも違ったんでしょうけ...
2023/08/18ニコン特集

愛用8年 久保谷健一がレーザー距離計で覗いたゴルフの変化

ツアー7勝のうち国内メジャー2勝、米ツアーへの参戦経験もある――。この経歴を目にして、「久保谷健一」の名前がすぐに浮かぶ人はかなり熱心なゴルフファンだろう。 レジェンド級の実績を持ちながらも、後輩のプロからは“ケンケン”と親しみを込めて呼ばれる久保谷。どんなにいいスコアで上がっても「たまたま」と謙遜し「明日も続くような内容じゃないんで」と、もはや持ち味ともいえるボヤキは、男子ツアーの名物だ。 「守っていたら戦えない」男子ツアーの変化 ボヤキの理由を本人は、「プラス思考じゃないのは確かですけど、別にマイナス思考というわけじゃないです。言うなれば、安定思考。例えば、フェアウェイセンターの好ポジショ...
2023/09/05ニコン特集

上田桃子の強さの秘密―― シビアなまでにこだわる「打点」と「距離感」

上田桃子がトッププレーヤーの一人として活躍し続けてきた間にツアーは変化し続けてきた。若手の台頭でライバルの顔ぶれは入れ替わり、クラブやボールの進化でツアー全体の平均飛距離は伸びた。また、2021年に米国のプロツアーで距離計測器使用が認められるようになると、22年には日本でも使用可能となった。 そんな数々の変化の中で、日米通算17勝を挙げた上田が、自らのゴルフへのこだわり、レーザー距離計の活用法、さらにはアマチュアへのアドバイスを語る。 上田が思う「ショットメーカー」の定義 女子ツアーの中でも「ショットメーカー」として名高い上田だが、「私ってショットメーカーですか?」と、本人は苦笑いで否定する...
2022/11/11本間ゴルフ特集

新たなファン層の獲得を図る老舗ゴルフメーカーの次なる一手

1959年の創業から職人による熟練の技を継承し続け、「世界で最も優れたゴルフクラブをつくる」ことを目標に製品開発を進めてきた本間ゴルフ。その老舗ゴルフメーカーが、新たなファン層の獲得に向けて新シリーズの創出に打って出た。目的を実現するために行われた戦略とは? フリーアナウンサーの青木源太さんが本間ゴルフの酒田工場を訪れ、複数のキーパーソンに話を聞いた。 ターゲットは「ゴルフを楽しんでほしい若い世代」 一般的には、従来シリーズの後継となれば、ターゲット層は前モデルから大きく変更することはない。しかし、新シリーズとなれば、どんなゴルファーに手にしてもらいたいか明確な方向性を定める必要がある。青木さ...
2022/10/28本間ゴルフ特集

“匠”が手掛けるゴルフクラブ 青木源太が見たモノづくりの神髄

世界で最も優れたゴルフクラブをつくる――。この想いで開発される本間ゴルフのクラブは、1959年の創業から伝統の技を継承する“匠”たちの手により生まれている。その生産拠点となるのが、山形県北部にある敷地面積約5万坪の規模を誇る酒田工場。日々、300人を超える職人の技と最新技術、高品質素材を融合した研究開発、製造が行われている。フリーアナウンサーの青木源太さんが現地を訪れ、本間ゴルフのモノづくりの極意に触れた。 「綺麗な工場」を保てる理由 「綺麗な工場ですね」。初めて酒田工場を訪れた青木さんは、工場内を見学しながら、そうつぶやいた。 ゴルフクラブの工場といえば、クラブの研磨や接着、シャフトのカット...
2024/11/05トゥルーテンパー特集

初V弾みにバージョンアップ中 阿部未悠のシャフト考

国内女子ツアーでトゥルーテンパーの「スチールファイバー」シャフトを採用する選手が増殖中という。ベテランから若手まで幅広く、優勝経験者もいる。 プロ4年目の今年4月、「富士フイルム・スタジオアリス女子オープン」でツアー初優勝を果たした阿部未悠もその一人。感覚派が多い中、打感や球筋だけでなく数値データもシャフトに求めている。24歳にして、「こだわるところは、こだわりたい」という強い信念がある。 スチールファイバーとの出合い アマチュア時代からプロ1年目まで、アイアンのシャフトはトゥルーテンパーのスチールシャフト「ダイナミックゴールド」を使っていたという阿部。同社の「スチールファイバー」に替えたのは...
2023/06/09テーラーメイド特集

“感覚派”山内日菜子の初優勝を支えた周囲のサポートとクラブ性能

今季の国内女子ツアー第4戦「アクサレディス」で、地元・宮崎出身の山内日菜子が初優勝を飾った。昨年のクォリファイングトーナメント(QT、予選会)で下位に沈み、今季はステップアップツアーの出場もままならないという状況の中、推薦出場のチャンスを生かしての下剋上は、多くのゴルフファンに強い印象を残した。 プロ8年目でつかんだ初優勝。その裏に合った契約メーカーであるテーラーメイドのサポートと、クラブにまつわるエピソードをお届けする。 今季最初の公式戦直前にパターグリップを変更 今季のレギュラーツアー初出場となった「アクサレディス」の開幕前日、山内はエースパターである「スパイダー GTx BLACK トラ...
2023/06/05フジクラ特集

サッカー元日本代表・城彰二さんの深すぎるゴルフ愛とシャフト愛

ことし30周年を迎えたJリーグ。その草創期からゴールゲッターとして活躍し、日本代表のエースとして1998年フランスW杯に出場。2006年に現役引退し、現在はサッカー解説者として活躍する城彰二さん。「唯一の趣味」と公言するのがゴルフだ。引退後はその魅力にどっぷりハマっている。 ■「ゴルフ嫌い」→初ラウンドで100切り、ベストスコア「69」 プロサッカー選手を引退した城さんが、周囲に言われてコースデビューしたのは31歳のとき。「ゴルフに全く興味がなかったし、ルールも全然知りませんでした。最初にドライバーを打つとか、どの番手を持てばいいかも分からなかった」という。「『とにかくボールに当てればいいんで...
2022/12/26ダンロップ特集

新ドライバーでも松山英樹の信頼を得たツアーレップの次なる願い

オーガスタの歓喜に酔いしれた2021年春、「マスターズ」を制したダンロップ『スリクソン ZX5 ドライバー』は市場でたちまち人気を博した。 しかし松山英樹の戦いの終わりがそこでないように、住友ゴム工業(ダンロップ)の製品開発に燦然(さんぜん)とピリオドが打たれたわけではなかった。むしろ、それも通過点だったと言える。グリーンジャケットに日本人が初めて袖を通したあの日、時を同じくして、すでにニューモデルの開発は始まっていた。 『スリクソン』史上最速モデル 2年半前に外資系クラブメーカーから同社に移ったツアーレップの宮野敏一(敬称略、以下同)は、PGAツアーの契約プロに寄り添い、クラブやボールを提供...
2023/01/18ダンロップ特集

山下美夢有の史上最年少年間女王をサポートした“立役者”

2022年国内女子ツアーでメジャー2勝を含むシーズン5勝を挙げて史上最年少の21歳103日で年間女王に輝いた山下美夢有。序盤の不振から抜け出して勝利を積み重ねた陰には、中学生時代から愛用するメーカーであるダンロップへの厚い信頼、さらにシーズン途中で実戦投入した新ドライバーがあった。 今年は海外挑戦にも前向きで未知の舞台でも心強いサポートと相棒が支えとなる。 3週連続予選落ちで気持ちの浮き沈みもあった ダンロップのプロサポート担当者から「クラブは大丈夫ですか?」と聞かれたのは、「KKT杯バンテリンレディス」から3試合連続で予選落ちを喫した4月が過ぎたころだった。3月の開幕戦こそ4位でスタートした...
2021/11/15日本シャフト特集

こだわり派も納得! 最新アイアンの能力を引き出す「N.S.PRO MODUS3 TOUR 115」の性能とは?

日本シャフトは2022年春、アイアン用のスチールシャフト「N.S.PRO MODUS3 TOUR 115(ツアー115)」を新発売する。「MODUS3(モーダス3)」シリーズ誕生から10年の節目に誕生するゴルファー期待の最新シャフト。この単体での販売に先がけ、21年秋には最新モデルのタイトリスト「T100 アイアン」「T100・S アイアン」やミズノ「ミズノプロ 223 アイアン」などで標準シャフトとして採用されている。ユーザーの評判がまだない中で、クラブメーカーの標準シャフトに採用された理由とは? 未知のシャフト「ツアー115」の性能に迫った。 「ツアー115」の重量がターゲット層にハマる ...
2023/07/25フジクラ特集

ツアー初Vからの全英出場 平田憲聖がこだわる1Wのシャフトとその理由とは

今年の「~全英への道~ミズノオープン」でツアー初優勝を果たし、自身初の海外メジャーとなる「全英オープン」に出場した22歳の平田憲聖。プロに転向してから初の海外遠征は悔しい予選落ちとなったものの、貴重な経験は今後のツアープロ人生に大きな影響を与えることになる。 平田といえば今季も安定したドライバーショットを放ち続けているが、ドライバーのシャフトはフジクラの「VENTUS TR BLUE」に替えたという。長さも45インチから45.75インチに変更するなど、シャフトに対するこだわりは独特だ。 ■昨年までの45インチから45.75インチに メーカーによっても異なるが、国内ツアーではシーズン終盤に入ると...
2022/11/08三井住友カード特集

授かった自信と誇り 中嶋常幸が思いを託す富士山麓の戦い

プロアマ合わせて「日本タイトル」7冠。国内男子ツアーで通算48勝を挙げ、4回の賞金王に輝いた中嶋常幸(68)。近年はジュニアの育成に力を注いでいる現状と、そんな次代を担う若手たちに挑んでほしいと願う、自らを高め続けてくれたトーナメントへの思いとは―― 中嶋常幸のいまとジュニア育成 直近のツアー出場は2021年10月の「日本プロシニア」。中嶋はそれから1年余りツアーから離れ、いまは千葉県成田市にある練習施設で調整を続けている。 全身の急な痛みに襲われたのは22年の4月中旬。「関節リウマチ」と診断され、当初はペットボトルのフタを開けられず、自宅でも杖が必要なほどだった。幸いにも症状の改善に合った...