2021年 WGCフェデックス セントジュード招待

東京五輪から147ホール目 松山英樹がプレーオフで見せたショットはすごかった

2021/08/10 17:27
最終ラウンド12番。ここから3連続バーディに繋げた (Ken Murray/Icon Sportswire via Getty Images)

松山英樹選手が2週連続で見せ場を作ってくれました。週末に「64」「63」をそろえての大まくり。最終日9打差スタートからプレーオフまで持ち込む爆発力は圧巻でした。

ハードなセッティングに風も吹いた最終ラウンドのフィールド平均スコアは「70.923」と4日間で初めてオーバーパーを記録。ノーボギーが松山選手とコリン・モリカワ、今シーズンメジャーを勝った2人しかいなかったことも、難度の高さを物語っているでしょう。

特にパッティングが冴えていた最終日ですが、注目したいのはプレーオフ2ホール目のセカンドショットです。左サイドに広がる池のプレッシャーをより感じる左ピン。ティショットで右ラフに入れたボールは見えてはいるものの、半分沈んでいて、スピンをかけるのは難しいライでした。

グリーンエッジまで165yd、ピンまでは184ydで手にしたクラブは9I。左からの風、ラフからのフライヤーを計算して果敢に狙っていきました。最高到達点を示す「APEX」は101フィート(約30.78m)と高さを十分に出し、池越えのピンがあるラインに落としてボールを止め、バーディチャンスを演出してみせました。

悔しさが伝わります(Tracy Wilcox/PGA TOUR via Getty Images)

プレーオフならではというアグレッシブな攻め。前週「東京五輪」から数えて147ホール目というタフなシチュエーションだったことも見逃せません。世界最高峰の技術と勇気が詰まった一打は、まさに鳥肌モノでした。

その松山選手を僅差で退けたアブラム・アンセル(メキシコ)の初優勝も見事なプレー。身長173㎝と小柄な選手で、シーズンのスタッツを見ると、ドライビングディスタンス290.1ydはツアー156位です。それでも、フェアウェイキープ率は70.67%という驚異的な数字で7位、パーオン率も69.19%で21位と精度が光るショットメーカーです。

アイアンは三浦技研を愛用。「全米女子オープン」を制した笹生優花選手が使っていることでも話題になった日本の老舗クラブメーカーですが、PGAツアーで初めて契約を結んだのがアンセルでした。僕も先日試打する機会があり、ビックリするほど良い球が出るのです。顔の大きさ、構えやすさ、操作性、飛距離…まるで自分の意思をボールに伝えられるようなクラブ。アンセルが地球の裏側にある国のメーカーとわざわざ契約を結ぶ理由を垣間見た気がしました。

最後は握手をして称えあった(Dylan Buell/Getty Images)

最終日に限ってはパーオン率55.56%(10/18)とさすがに苦戦する状況でしたが、4日間を通じて1位のスクランブリング(85.71%)が示すようにリカバリーも際立っていました。

舞台となったテネシー州メンフィスのTPCサウスウィンドは、バミューダグラスの芝の根が網目状に入り組んでいて、非常に難しいのが特徴。全選手がグリーン周りで苦労しているのが伝わってきました。巧みなマネジメント、粘り強いプレーが呼び込んだメキシコ勢4人目のPGAツアー優勝でした。

次戦はいよいよPGAツアーもレギュラーシーズンの締めくくりとなる「ウィンダム選手権」。プレーオフシリーズの最終戦まで6連戦が見込まれる松山選手にとっては、疲労などコンディション面も大事な最終盤です。再びの優勝争いを期待しましょう。(解説・進藤大典)

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