2012年 ザ・プレーヤーズ選手権

【WORLD】M.クーチャーが得た自信/ザ・プレーヤーズ選手権レビュー

2012/05/29 16:49

Golf World(2012年5月21日号) texted by Ron Sirak

プレーの安定感は誰もが認めるところ。次に期待されるのは、もちろんメジャー制覇だ。(J.D.Cuban/GW)

最終ラウンドはナが、クーチャーに1ストローク、ファウラーに3ストロークつけている状態から始まった。ファウラーは、1番と4番でバーディを奪って勝利に近づいたように見えたが、5番でダブルボギー、7番でボギーを叩いて後退。クーチャーがボギーでスタートし、ナが2番でバーティを決めた時は、若者が、首位を守るために、いてもたってもいられないといった様子だった。また、4番でショットを引っかけながらも池ポチャを逃れた時は、トーナメントで勝利する時に必要な“後押し”があったようにも見えた。

だが、次のホールで、ナがミスショットを2度続け、ボギーとしたところから、物事は道を外れていった。これが、25ホールノーボギーの後、9ホールで6ボギーを叩いた始まりだった。その一方で、ファウラーは劇的な17番ホールでのガッツポーズの前に、11番、12番、16番でバーディを決めて、混戦の中に再び戻っていた。だが、スタートホールでボギーをたたいていたクーチャーは、17番を3パットボギーとしてしまうが、それよりもずっと前、4番、9番、12番、16番でバーディを奪っていた貯金があり、最終ホールをボギーで終えても優勝することができた。

プレーのペースが目も当てられないほど遅かったナは、常に急降下してもおかしくない雰囲気だった。こんなにボールの前で落ち着かない男が、どうしてこんないいスコアなのだろうか…?「簡単なことじゃないことは分かっていた」とナは言う。「あの場では、たくさんの人からヤジを飛ばされたけど、応援してくれる人もいた。感謝しているよ」。

13番でナが池ポチャして優勝のチャンスがほぼ消えた時、ギャラリーの中にはSteamの名曲「Na Na Hey Hey Kiss Him Goodbye」を歌い出す人たちもいた。だが「ガッカリした日だったけど、全体的に見れば、ポジティブな1週間だった」と振り返る。「今週起きたポジティブな面を見て、また勝てるようにしたい」と話した。

話は戻るが、ファウラーにとって、この大会は新たな一歩となった。初日「72」のスコアからスタートすると、「69」、「66」をマークして、戦いの場に身を戻した。「ここ数週間は、とても辛抱強くいられるし、非常にいいプレーができている。だから、自分の戦い方に自信を持っているんだ。そのおかげで、緊張するような場面になっても、落ち着きと自信が生まれるようになったんだ」とファウラー。

「“あれ”を身につけたんじゃないか?」と冒頭のコメンテーター、ミラーはファウラーについて語り始めた。「あれとは、彼が特別なプレーヤーになるため必要不可欠なものだ。もう少し経験を積めば、いいクローザーになる。なかなか珍しい特性だ。今のうちに言っておくよ」。

もちろんクーチャーも、本人は正しい方向に向かって進んでいると感じている。「試合経験を積めば積むほど、よりリラックスした感覚を味わえるっていうことだと思う。以前は1番ティでとても緊張したんだ。でも今では、その緊張感はないからね」。

この落ち着きが身についた理由の1つは、自分の技術を信じられるようになったことにある。2006年、ネイションワイドツアーに参戦している時、クーチャーはコーチのクリス・オコネルに師事するようになった。「クリスが見守る中でボールを打った時から、うまく打てるようになってきたんだ」とクーチャーは自分のシンプルで変化の少ないスイングについて話した。

「将来的に、クーチャーは、リッキー・ファウラーバッバ・ワトソンの好敵手になるだろう」とミラーは語る。1998年、クーチャーはマスターズでローアマチュアになった後、オリンピッククラブで開催された「全米オープン」でもローアマチュアになった。彼は今年、マスターズで3位タイという好成績を収めた後で、そのオリンピックで開催される全米オープンに舞い戻る。「彼のゴルフは、今、大きなことを成し遂げる準備が整っている」とミラーはクーチャーを評した。もちろんメジャーで勝つ可能性を感じさせながら。

米国ゴルフダイジェスト社提携
Used by permission from the Golf DigestR and Golf WorldR. Copyrightc 2011 Golf Digest Publications. All rights reserved

1 2 3

2012年 ザ・プレーヤーズ選手権