【WORLD】L.ドナルドが世界一を奪還/トランジションズ選手権レビュー
Golf World(2012年3月26日号) texted by Jim Moriarty
ルーク・ドナルドが世界ランク1位を奪還した。アメリカ国内がNCAAバスケットボールトーナメントの予想に沸き、セントパトリックデーを祝うためパブ巡りをする時期、たびたび世界から過小評価されていることの多いドナルドは「トランジションズ選手権」で優勝を果たした。
これまでは、まるでグラマラスなスーパーモデルが部屋に訪れるだけで、たぶらかして帰るだけのブラインドデートのように否定的な評価をされてきたドナルド。しかし新星ロリー・マキロイに世界ランク1位を奪われてから僅か2週間後、ジム・フューリック、ロバート・ガリガス、そしてベ・サンムンとの熾烈なプレーオフを制し、世界一の座に返り咲いた。プレーオフ1ホール目、ドナルドはティショットを右に曲げラフへとボールを打ち込んだが、7番アイアンで打った2打目はフロントバンカーを超え、ピン下2mにつけたのだ。
世界の誰もがドナルドのパッティングテクニックを疑わないが、本人はそれでも慎重な姿勢を崩していなかったという。「最後の最後、『この3年間、パッティングでは世界1位と言われていたんだから、自分を信じて打て』と自分で自分に言い聞かせた。結果的に決められて良かった」。極めてシンプルながら、ドナルドはタスクを実行したというわけだ。
残念な結果となったのはアーニー・エルス。マスターズ出場権を逃したばかりか、優勝への情熱も報われず。あと2つパーが出ていれば結果は変わっていたかもしれないが、結局傷心のまま宿舎へと戻ることに。エルスが最近グリーン上で不振にあえいでいたのは明白だ。16番のグリーンでも1.3mのバーディパットをミス。これが決まっていたら余裕が生まれていたかもしれない。17番では長時間待たされた挙句、4番アイアンで打ったショットは右の林に向かい不愉快極まりない形相を見せる。さらに18番では再び近距離のパーパットをミス。決めていればマスターズ出場権獲得のチャンスも残されたかもしれなかった。
「今は非常に腹立たしくてコメントするのが難しいね」と前置きすると、「振り返ってみても良いゴルフが出来ていたと思う。これからの数週間で優勝しないといけなくなった」と語った。
イニスブルックリゾートのカッパーヘッドコースといえば、スネークピット(同コースの上がり3ホールの愛称)の難易度は神がかり的とも言われ、知らない者はいない。非常に巨大な蛇の像が15番ホールと16番のティーの間に設置され、クレス・オルデンバーグが製作した像がアニマルプラネットを思い起こさせる。
最終的にドナルドが世界1位を奪還して終わった大会となったが、決して容易な道のりではなかった。今後は世界1位から引きずり降ろされたマキロイの奮起に期待したい。
米国ゴルフダイジェスト社提携
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