【WORLD】課せられた使命 M.ワンLPGAコミッショナー インタビュー
Golf World(2013年2月18日号)texted by Ron Sirak
LPGA(米国女子ツアー)も発足から64年目を迎え、コミッショナーのマイク・ウォンにGolf Worldのロン・シラク編集長がインタビュー。ツアー拡大、資格年齢、テレビ放映権料収入といったツアーについて回る問題ついて話を聞いた。
―2010年と比べて、今日のLPGAはどう変わったと思いますか?
「『飛躍』という言葉が思い浮かびますね。以前ならセールス面でのプレゼンをした際、相手方から『本当に大丈夫ですか?』という反応が見られたのですが、ここ1年半くらいは違った反応が返ってくるようになったと言えます。先日も『良い報せを聞きましたよ。中国でもツアーを開催するんですって』という反応を頂きましたから」
―2011年には年間23大会に縮小されたLPGAでしたが、今年は28に戻りました。セールス面で何を売りにしたのでしょう?
「私自身が選手のことを以前より理解し、経験を積むことで状態は良くなったと思いますね。プロスポーツのスポンサー獲得において最も難しいのは、会議室で相手を納得させることです。ですから見込みのあるスポンサーにはプロアマ大会に出場してもらってゴルフを経験する、18番ホールのグリーン近くの席で観戦してもらう、もしくはテレビ局に来ていただくことで、我々の製品であるツアーをアピールしました」
―LPGAの創設メンバー(マリリン・スミス、ルイーズ・サグス)を今年迎えたことの重要性について教えてください。
「組織として、これまでの手法を打破したとい自負はあります。しかしこの50、60年間、我々は組織を今日の状態までに導いてくれた存在に敬意を払わなくなっていましたが、私自身が誇りに思うことは、再び創設者達にスポットライトが当たるようになったことです。”創設者魂を忘れない”という哲学は、組織の中に今も生きているということです」
―15歳のリディア・コーがLPGAツアーでの1勝を含む3勝をプロで挙げていますが、あなた自身は、ツアー出場可能な最低年齢制限ルールについてどのようにお考えですか?
「規則ではツアーメンバー資格取得に必要な年齢を18歳と定めていますが、コミッショナーの裁量で、我々組織、そして選手にとって最適な判断を下すことが出来るのです。私を悩ます問題の1つは、選手によって出場を嘆願する書類の量、質が共に一定していない点です。何行かの選手自筆による書類から、弁護士が作成したものでカラー写真付きの72頁にも及ぶものまでありますからね。それらを精査して判断を下すことになるのですが、まずは選手の実績が重要になります。その他には教育レベル、今後どういう教育を受けようとしているかなどの将来プランも重要な項目です。LPGAメンバーになることでどういう恩恵があるのか?LPGAにとって利益になることは何なのか?選手にとっての母国内のツアーではなく、LPGAである必要は何なのか?を聞いてみたいですね」
―嘆願書の数は増えていますか?
「そうですね。私が就任した初年度は5、6通だったのに、昨年は10から15通は届きました。LPGAメンバーになるには、ツアーを“売る”ことが求められます。プロアマのパーティー、スポンサーとの交流に参加するのも競技外での責任ですから。多くのファン、選手の両親、代理人が理解していないのは、そういうところですね。そもそも16歳以下の選手の両親、代理人からすれば、私のところに嘆願書を送る手法は時間がかかるし、それが最後のチャンスになるわけではないと認識していることでしょう。16、17歳の選手で、Qスクールを通らずに出場権を獲得するには、最低でもLPGAツアーで1勝は要求されます。スポンサーからの招待選手は6名、それに予選を勝ち上がった選手を1名受け入れることは可能です。今シーズンからは、LPGAの大会に5度出場した経験があり、規定の年齢に満たない場合は、選手育成プログラムを2セッション受講するよう義務付けています。シーズン終了までに条件を満たしていない場合、次の年からスポンサー招待を減らすなど、選手に制限が付くようになります」