2012年 グリーンブライアークラシック

佐渡充高が簡単解説!初めてのPGAツアー【第四十三回】

2012/07/04 10:00

■ 「グリーンブライアークラシック」の歴史

2010年にPGAツアーに加わり、今年で3回目の開催となる。今大会が行われる「ジ・オールドホワイトTPC」はかつて「ジ・オールドホワイトコース」と言われ、アメリカのリゾートコースとしては草分け的な存在だった。1858年から1922年までオールド・ホワイト・ホテルという、その名の通り、白を基調とした建物のホテルが存在した。以前からその地には硫黄(温泉)が湧き出て、先住民族らが湯治を行っていたことでも知られている。その場所をアメリカのリゾート会社が譲ってもらい、はじめは湯治場だけだったのが、歴代大統領の静養地になり、のちにゴルフ場を作ると、ウィルソン大統領がプレーしたことで有名になったコースである。過去には、1979年の「ライダーカップ」の会場にもなっている。

現在までジ・オールドホワイトコースのヘッドプロを務めるトム・ワトソンが今年も出場を予定している※写真は2010年「マスターズ」

■ ヘッドプロとコースセッティング

さらにクラブの歴代ヘッドプロは2人しかいない。最初のヘッドプロはゴルフの神と呼ばれたサム・スニード、もう1人がトム・ワトソンだ。この歴史あるアメリカで有名なゴルフ場のヘッドプロと言えばステータスがあり、さらに先代が“神”とあがめられたスニードのポジションを継ぐとあれば、ワトソンも相当な緊張感で臨んだという話もある。それはとても名誉なことである。この週は毎年米国シニアメジャー「全米シニアオープン」と重なっていたが、ワトソンはこのゴルフ場のヘッドプロとして、自分の責務を果たすべく「全米シニアオープン」を欠場し、今大会に出場するようになった。ひとつのレジェンドがこの大会を盛り上げる、それがこの大会の魅力ともいうべき面白いところである。

また、ここはリゾートコースのやさしいセッティングだったので、2010年の第1回大会は22アンダーが優勝スコアだった。最終日にスチュアート・アップルビーが「59」をマークして逆転優勝を飾ったのだが、さすがにプロゴルファーがプレーするには易しすぎると運営側が判断し、全長を約400ヤード長くするなど、コースを改造して難易度を上げた(ちなみに昨年の優勝スコアは10アンダーと、開始当初のスコアの半分以下)。それによりガンガンとスコアを伸ばすというよりも、むしろ獲るべきホールでしっかり獲ってあとは落とさない、というような攻略と我慢の両面を図るようなコースになった。また、ここ近年は最終18番ホールをパー3に設定しているコースはなくなってきている。やはり、ホールインワンのわずかな確率よりも、劇的な逆転の可能性を秘めているのはパー4、パー5のコースがほとんどだ。しかしここはいまだに最終18番をパー3として残している数少ないコースである。

2012年 グリーンブライアークラシック