ツアー選手権を制し、年間王者となったステンソン
「ザ・ツアー選手権 presented by コカ・コーラ」最終日、初日からの首位の座を守ったヘンリック・ステンソンが優勝を飾り、ゴルフ界最高額賞金を手にした。
2位に3打差をつけ、またここ3戦で2勝目となる勝利を挙げたステンソンは、フェデックスカップタイトル(年間王者)とボーナス賞金1000万ドル(約10億円)を獲得した。大会優勝賞金144万ドル(約1億4400万円)も併せて手にしたステンソンは、2011年大会のビル・ハースに続くイーストレイク初参戦でのフェデックスカップ制覇を成し遂げた。
ステンソンの勝利は、フェデックスカップ7年の歴史で初のヨーロッパ人選手による年間王者獲得となった。
この勝利はまた、この2カ月ステンソンが見せていた世界最高のゴルフの締めくくりとなった。「ドイツバンク選手権」、そして今大会とプレーオフシリーズで2勝を挙げ、それ以外にもここ7戦で3度のトップ3フィニッシュを飾っていた。
「自分でも信じられない快進撃だった」と表彰式でステンソンは言った。「何と言っていいかわからない。全く言葉がでないよ」。
フェデックスカップランキング2位で今大会を迎えたステンソンは、最終日を「68」でラウンド。この4日間全てをパー以下で回ったのは、ステンソンを含め2選手だけ。2位タイのジョーダン・スピースとスティーブ・ストリッカーに3打差をつける通算13アンダーでの優勝だった。
イーストレイクで初めてプレーしたステンソン、今週はショットが素晴らしかった。パーオン率は約78%という数字で1位を記録し、またフェアウエーキープ率でも3位タイ。そして今大会、ショートホールの出来でステンソンを上回った者はいなかった。ステンソンは20のバーディのうち、5つをパー3のホールで奪った。
スピース、ストリッカー、そしてダスティン・ジョンソンにとって、最終日に4打差を逆転することは容易いことではなかった。
今季開幕時にはツアー参戦権を有していなかった20歳のスピースは、最終日を「64」で回り通算10アンダーとした。今季ツアーにおける最終ラウンドの平均スコアで6位をマークしたスピースはこの日、フロントナインでは7番ホールから3連続バーディを奪い、バックナインでも17番ホールをボギーとするまでの4ホールで連続バーディを記録した。
ランキング5位以内に位置し、今大会の勝利で自動的にフェデックスカップを制するチャンスを持っていたストリッカーは最終日、スタートホールこそボギーとしたがその後4つのバーディを奪い、572ヤードのロングホールでは初めてのイーグルも奪ってステンソンにプレッシャーをかけた。元々は今週、弓でハンティングするためコロラドへ出かける予定を立てていたというストリッカーは、「65」をマークしたが首位には3打及ばなかった。
ステンソンと同組で回ったジョンソンは5番、6番の連続ボギーで遅れを取った。バックナインで4バーディを奪い一時は10アンダーとしたが、最後は17番でトリプルボギーを叩いた。
今週、フロントナインだけで14アンダーというゴルフで圧倒したステンソンは、最終日のバックナインでもミスを最小限に留めた。14番でのボギーでスピースとの差が2打まで縮まったが、パー5の15番でバーディを奪うと、16番ホールではバンカーショットを直接沈めるかと思える素晴らしいショットで、楽々パーセーブをした。
最終日のバックナインでステンソンが要したパット数は、たったの13。最終日のバックナインで13打以下のパッティングで優勝を決めた選手は、1992年以降ステンソン以外に3人しかいない。2010年のジム・フューリック(13パット)、2006年のアダム・スコット(12パット)、そして1992年のポール・エイジンガー(13パット)だ。
「とてもタフな1日だったよ」とステンソン。「実に色々なことが同時に起こっていたからね。もし今日優勝を逃したとしても、フェデックスカップを手にする可能性が残ることはわかっていた。でも、そんなことを考えながらプレーをするかい?結局は、2つのトロフィーを手にするため、この大会を勝つことにベストを尽くしたんだ」。
「余計なことを考えず、本質に集中することはいつだった難しい。今日は決してベストなラウンドではなかったが、粘り強くプレーし、正しい判断を下すことができた」。
ステンソンを猛追したスピースはこう話した。「スコアボードはあまり見ていなかったけど、ステンソンがまだまだ上にいることがわかった。彼はまだ15ホールも残していたからね。フェアウェイさえ捕えれば、彼にとってそれは自動的にバーディみたいなものだったよ」。
ほんの2年前まで、ステンソンは世界ランキングで230位まで落ち込んでいた。しかしステンソンは、2009年に「ザ・プレーヤーズ選手権」を制した姿へと復活を遂げるべく、努力を積み重ねた。
「誰もと同じく、ヘンリックにもスランプがあったんだ」と、ストリッカーは話す。「彼が絶え間ない努力と情熱で、この世界の頂点であるフェデックスカップ制覇まで登り詰めたことは、本当に素晴らしいことだね」。
ステンソンはこう話した。「この2週間で2勝して、フェデックスカップを手にすることができたことは、何よりも最高だよ。本当に信じられないし、まだピンとこないね。猛練習が報われたと思っている」。
PGAツアーの年間最優秀選手を決める投票の行方は、ステンソンと、今季5勝を挙げたウッズの2人による争いになるだろうと、ストリッカーは考えている。投票は日曜夜に始まり、週末には結果が出る。「ヘンリックは大本命だ。ヘンリックがタイガーの、どちらかだろうね」とストリッカー。「ヘンリックは本当に素晴らしいシーズンを送ったんだ」。
ウッズは最終日を「67」でラウンドしたが、大会初日に自身のキャリアで7度目となる1つのバーディも奪えないラウンドを回った後では、もはや意味はなかった。ウッズは通算イーブンパーの22位タイで今大会を終えた。ステンソンを頭一つ抑え、フェデックスカップポイント1位で今大会を迎えたウッズだったが、自身3度目のタイトル獲得には届かなかった。
ウェブ・シンプソンは今大会ベストの「63」で最終日を回り、単独4位となった。