3日目は悪天候に苦戦したステンソン 最終日は快晴となるか?
By Brian Wacker, PGATOUR.COM
直近の2カ月を振り返ると、地球上でヘンリック・ステンソンほど好調なゴルファーは見当たらない。だから今週が引き続きそうであっても、何ひとつおかしな話ではない。
ここ6試合で、ステンソンがトップ3フィニッシュを外したのは、わずか2度だけだ。
イーストレイクでの54ホールを終了した時点で、彼は2位以下に4打差をつけている。彼はフェデックカップの初優勝を、初出場の舞台となった「ザ・ツアー選手presented by コカ・コーラ」で狙える位置にいる。
今季最終戦の最終日に、それほど大きなダメージをもたらさなかった大自然に感謝しよう。
3日目の前半9ホールで2位以下に9ストロークもの大差をつけたステンソンは、このまま逃げ切り優勝かと思われた。しかし後半は雨にたたられ、ボギーを連発した。
ステンソンは後半9ホールで、最終18番(パー3)を含め4つのボギーを叩いた。グリーンを横断するほどの長いバーディパットの後、5フィートのパーパットを外してしまった。
「雨に降られなければ、間違いなくもっと心地よいラウンドとなったはずなんだけどね」。3日目を1アンダー「69」で終えたステンソンは、振り返った。「今日の後半はタフだったね。悪いショットが何本かあったし、今日のようなコンディションだと、一度狂ったリズムを取り戻すのは簡単ではないからね」。
そうなるとステンソンは、日曜日のイーストレイクでスコアを伸ばして逃げ切り優勝を狙うのはもとより、ダスティン・ジョンソンや、スティーブ・ストリッカーなど、この大会の優勝と共にフェデックスカップの優勝を狙うライバルたちを抑え込む必要がありそうだ。
例えばの話、ストリッカーがこの大会を制すれば、彼はフェデックスカップの王者となる。また、仮にジョンソンが優勝した場合は、現在世界ランク1位のタイガー・ウッズが最終日に好スコアを出せば、3度目のフェデックカップ王者となれる可能性さえ残されている。すべてはシーズン最終戦の最終日の、上位組のラウンド次第なのだ。
ステンソン自身は、それほど多くのシナリオを描いていないはずだ。なぜなら、彼が大会で勝利すれば、おのずと全ては片付くからだ。
「フェデックスカップの上位5選手の誰かが優勝すれば、そのままフェデックスカップの年間王者になることは知っているよ」。ランキング2位で今週を迎えたスウェーデン出身のステンソンは語った。「明日は優勝しなくても、年間チャンピオンになれる可能性があることも知っている。でも何位で終わればいいのかは、見当がつかないね」。
明日のステンソンは、自分の順位に気を揉むことは必要ないだろう。しかしライバルのジョンソンは、そうは言っていられない。
ほんの1週間前のシカゴで、ジョンソンは4日間を通して一度もアンダーパーを記録できなかった。しかし他の選手の結果――ルーク・ドナルドが4位で終わったことなど――が幸いして、ギリギリ30位の最後の枠を確保して、この最終戦に挑んでいる。
先週のシカゴは、ジョンソンにとってはフラストレーションの溜まったラウンドとなったことだろう。しかし今週の彼は、失うものは何もないはずだ。そしてまさにその通りのプレーをしている。土曜日に「67」を記録した彼は、スポイラー(逆転優勝を狙える可能性)とならんとしている。もしステンソンに追いつけたら、の話だが。
もちろんそれが、困難なタスクであることは誰もが知っている。4打差という心地よいリードに加え、今週のステンソンは、イーストレイクのフロントナインを圧倒している。彼は3日間で13アンダーを記録しているのだ。
土曜日のフロントナインに至っては、ステンソンは5バーディ、ノーボギーと無傷のラウンドを披露した。「思うに、障害物をうまく回避できているからだと思う」と、ステンソン。前・後半のそれぞれのコースの違いについて説明を試みるも、「僕の中では、フロントナインとバックナインに、大きな違いがあるとは思えないけどね」。
先週のBMWチャンピオンシップ選手権中に痛めた左手首の炎症の影響で、プラクティスラウンドのバックナインをプレーしなかったステンソンにしてみれば、3日目までのラウンドは、上出来の結果と言える。
「何と説明したらよいのか難しいんだけど、(練習ラウンドの)水曜日のバックナインをキャンセルしたあの時だけ、症状が出たんだ」と、ステンソン。「誰もが似たような道を通ったことがあるでしょう」。
シーズン最終戦の最終日を迎えたここまでの道のりは、ステンソンにとっても、他のゴルファーにとっても、長い道のりだったろう。
スウェーデン人のステンソンは、今シーズンPGAと欧州ツアー合計で25試合に参戦した。過去に2度、彼のキャリアを襲ったスランプと比較すれば、今回の試練は、何ともないと言えるだろう。
特に彼の2度目のスランプは、わずか2年前のことだ。ステンソンの世界ランキングは230位まで下落した。さらに「ポンジ・スキーム」と呼ばれる投資詐欺の被害にも遭い、貯蓄のほとんどを失った。
財政的に立ち直ることができた37歳の彼が、今週の優勝とフェデックスカップの優勝を獲得すれば、11.44ミリオンドルを得ることができる。それはシーズンを締めくくる有終の美としては、十分すぎるほどの賞金だ。
彼はそこまで先のことは、想像しないようにしているだろう。「もちろん、2つとも優勝したいさ。2つ優勝できなくても、ひとつ勝てれば十分です。もし、ひとつも勝てなかったとしたら、それはあまり嬉しくはないね。でも今週、ここに来た時の僕はなにひとつ持っていなかったわけだから、明日、何を手にするのか、楽しみにしたいと思うよ」。
状況からして、どうやら彼は、沢山のものを持ち帰ることとなりそうだ。そして誰よりもそのことを強く望んでいるのは、もちろんステンソン本人だ。