2013年 マスターズ

ニクラスとウッズ:実はゆっくりと会話したことのない2人の関係

2013/04/12 14:00

By PGATOUR.COM wire reports

「タイガーとの会話は、せいぜい長くて1分か2分がいいところ」と話すニクラス(Getty Images)

マスターズ優勝6回を誇るジャック・ニクラスは、自身の経験から得た“オーガスタの秘密”を現役ゴルファーたちに惜しみなくシェアしている。ロリー・マキロイルーク・ドナルド、ニコラス・コルサートらは、偉大な先輩から多くを学んでいるようだ。だがそこに、タイガー・ウッズの名前はない。

ニクラスによれば、彼の持つマスターズ最多優勝を塗り替える可能性があるタイガーとは、実は腰をおろしてゆっくりと話したことはほとんどないらしい。

それどころか、2人は会話もままならない関係らしい。

「タイガーとの会話は、せいぜい長くて1分か2分がいいところ」。木曜日、大会の始球式を務めたニクラスは語った。「会話という観点でいえば、タイガーがどういう訳か私を避けているように感じる。特にマスターズについては、言葉を交わしたことすらないよ。今日もこんな感じさ。“やあ、タイガー。今季は調子が良さそうだね。いいゴルフが続いているじゃないか。”以上、終わり。もちろん周りの仲間は聞いてくるよ。“これまでタイガーと、マスターズの優勝記録について話したことがありますか?”とかね。答えは“ノー”だ」。

ニクラスは、ウッズがマスターズについて一切の質問をしてこない事に、腹は立ててはいないものの、ある意味で驚いているようだ。ひょっとするとウッズは、マスターズについてかなり早く、何かを掴んだのかもしれない。彼はプロとして初出場したマスターズから6大会で、3度の優勝を達成した選手だ。

「彼には彼の考えがあるのだろう。私はそれを尊重するよ」と、ニクラス。「誰かが物事に熱中することを、私は尊重したい。彼らが何をするかが重要なのであって、私が何をしたのかは、重要ではないからね。だから会話がなくてもOKさ。マスターズについて私からタイガーにとやかく言うのは筋違いだし、そこに首を突っ込むことは私の流儀ではない」。

マスターズについては、ニクラスの言う通りかもしれない。にしても、だ。ウッズとニクラスの2人の関係は、微妙と言わざるを得ないだろう。ニクラスの持つキャリア記録を次々と塗り替えたのは、若き日のタイガー・ウッズに他ならないのだから。

「(僕たち2人は)ニクラスがキャプテンを務めたプレジデンツカップが、最もよく会話をした時かもしれないね」。マスターズの初日を“70”で回ったウッズが語った。「メモリアルで姿を見かけた時などは、あちこちで会えば言葉は交わしているよ。でも確かにニクラスの言う通りだ。これまでの僕は、ニクラスと多くの時間を共有してきたとは言い難いからね。ただ、今週だけは別の話だ。何と言ってもメジャー大会だ。プレーヤーの誰もが、自分の世界に入り込んでいる。そのことを彼は分かっていると思うよ。」

ニクラスは過去に4度、プレジデンツカップでキャプテンを務めた。さらに彼は、メモリアルの優勝記者会見に参加する。ウッズはそのメモリアルで、5度の優勝経験がある。ニクラスはプレジデンツカップでのタイガーとフィル・ミケルソンのこんなエピソードを教えてくれた。ニクラスは他にもいろいろなネタを知っていそうな雰囲気だった。

私は2人に尋ねたことがあるんだ。「君たちは、仲が良さそうだね」と。するとタイガーはこう答えた。「そうですね、仲良くやっていますよ」。私は続けた。「他とはどうなの?」。タイガー「そうですね、あとはプレス記者たちかな?」。私:「2人はずっと仲間でプレーしたい?」。タイガー:「いや、できれば遠慮したいですね」。

「ここでのポイントは、タイガーにも(語り合える)数人の仲間がいるということ」。ニクラスは語った。「そしてその仲間との関係でさえ、タイガーは多少の優越感を持っているようだ。そして例え仲間であっても、彼らがタイガーの成績を脅かすようなことを、タイガーは望んでいないようだった。私はタイガーのその気持ちが分かる。そしてその気持ちを敬いたいと思います」。

ニクラスとウッズは、メジャー大会で過去に1度だけ、一緒にラウンドしたことがある。2000年、バルハラで行われたPGAチャンピオンシップ初日のことだ。また彼らは昔の“ビッグホーンの戦い”でチームメイトだった。またウッズは以前、20年以上の長い間、ニクラスとのライバル関係を比較されることについて、またニクラスとはどんな会話をしたかについて、こんな風に語ったことがある。「僕たちは常に“会話の一部”だからね」。ニクラスによれば、南アフリカの地でも、2人の会話はそれほど長く続かかかったらしいが。

「タイガーとは問題なく上手くやっているよ。僕はタイガーが好きだし、彼について何か言いたいこともない。冗談だって言い合うしね」と、ニクラス。

フロリダ州パームビーチ近郊の海岸沿いに練習場を備えた新居を構えたウッズは、オーランドから転居してきた。新たにその地域の住民となったウッズが、地域に2つあるどちらのゴルフクラブに加入するか、注目が集まった。ウッズは「メダリスト」を選んだ。もうひとつの選択肢「ベアーズ・クラブ」には多くのプロがいて、そこはニクラスがフロリダのホームコースとして建てたゴルフクラブだった。

「タイガーがフロリダに越してきた時、ベアーズ・クラブに誘ったんだけど、彼に避けられてしまったんだ。どうしてか理由を聞いたことはないんだけど、ある人が言うには『記録を破ろうとしている張本人を前に、心地良くメンバーにはなれない』と言ったらしい。」僕はそんなことは一向に気にしないんだけどね。もちろんタイガーは時々、我々のクラブでラウンドもしているし、彼が来る時はいつだって歓迎しているよ」。

「大切なことは、人はそれぞれ個性を持っていて、間違いや批判なんてないということ。それが個性そのものなんだから」。

では、ニクラスとの会話を避けているタイガーは、一体どんなゴルフ談議を聞きそびれているのだろう。

ニクラスは常々、確率と状況に応じたリスク選択について語っている。さらにオーガスタ・ナショナルでは、バーディチャンスに付けたと思ったショットは、いとも簡単にピンから離れていくということだ。

彼は今でも、1971年のマスターズ最終日、15番ホールで放った3番ウッドを思い出す。池に入れてしまい、優勝争いから脱落した一打だった。

「たった一打のミスが命取りとなって、優勝争いから脱落するのは普通じゃない。あのホールで私が必要だったのは“4”だった。“3”を狙う必要はなかった。ボールをレイアップすれば良かったんだ。それなのになぜ、自らリスクを冒してトーナメントから脱落してしまったのか。それがストレスなんだ」。

「リスクを冒す必要がなければ、私はリスクは取らないよ」。「トーナメントについて助言してくる人たちに対して、私が返す言葉は、“この大会ではわずか一打が命取りとなる状況が5度や6度は訪れる”ってことだ」。

ニクラスは詳細を語った。2番(パー5)のティショット、11番のセカンドショット、12番(パー3)のティショット、13番(パー3)のティショット、および第2打、15番(パー5)のセカンドショットがそれだ。

「いま挙げたシーンでのショットを想像してみてよ」と、ニクラス。「確率が50/50なら、私は間違いなく安全策を選ぶ。確率が9対1くらいであっても、考えに考えた末に、10%のリスクを消し去る慎重さが必要だ。マスターズでの1打のミスは、取り返しのつかないミスになるからね」。

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