2016年 リオデジャネイロ五輪

【五輪コラム】幻に終わったオーガスタ開催の光と影/佐渡充高

2016/08/10 15:33

是が非でも実現へ! PGAツアーのコミッショナーが狼煙をあげる

是が非でも実現へ!PGAツアーのコミッショナーの動きが五輪競技への復帰を加速した ※画像は2016年ザ・プレーヤーズ選手権(Scott Halleran/Getty Images)

2008年のことだった。PGAツアーのコミッショナー、ティム・フィンチェムが「2016年の夏季オリンピックからゴルフを競技種目に復帰させよう!」と動き出した。

ツアーの公式ウェブサイトで「マスターズに訪れていた世界各国の要人と話す機会があり、ゴルフは競技復活すべきという意見が多かった。今こそ前進する時だと痛感した」と決意の声明を発表した。それを受け、ゴルフ関連団体の主要ポストの人物が次々に賛同の声を上げ始めた。プロゴルファーの統括面で苦労を続けていた全米ゴルフ協会のフェイは「成功の鍵はトッププレーヤーの出場と、試合の開催スケジュールをコントロールできるプロゴルフ関連団体の協力が不可欠」とフィンチェムのバックアップは百人力とでも言いたげだった。

オーガスタナショナルGCのビリー・ペイン会長も「五輪競技に復活することは、さらに多くの国、多くの人々にゴルフというスポーツの素晴らしさを伝える新たな道ができるということ」と喜び、全面的にサポートすることを表明。このムーブメントが拡大し流れが加速していった。

五輪競技復活という大きな共通の目標ができたことで世界のゴルフ団体の交流が盛んになり、大きなネットワークが整った。そしてチームワークで実現にこぎつけた。これが何より嬉しいことだ。24年前の苦い経験は五輪復活だけでなく、ゴルフのさらなる発展と現在のグローバル化の礎になっている。

■ 筆者プロフィール 佐渡充高(さどみつたか)

ゴルフジャーナリスト。1957年生まれ。上智大時代にゴルフ部に所属しキャプテンを務める。3、4年生時に太平洋クラブマスターズで当時4年連続賞金王に輝いたトム・ワトソンのキャディーを務める。東京中日スポーツ新聞社を経て85年に渡米、ニューヨークを拠点に世界のゴルフを取材。米国ゴルフ記者協会会員、ゴルフマガジン「世界トップ100コース」選考委員会国際評議委員。元世界ゴルフ殿堂選考委員。91年からNHK米ゴルフツアー放送ゴルフ解説者。現在は日本を拠点に世界のゴルフを取材、講演などに飛び回る。

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