2013年 マスターズ

タイガー、世界1位に復帰して臨むオーガスタ

2013/04/10 16:57
火曜日に公式会見に出席したT.ウッズ。笑顔の多さも今の調子を物語っている(David Cannon/Getty Images)

今シーズンUSPGAツアーで5戦3勝と絶好調のタイガー・ウッズが、世界ランク1位に復帰してオーガスタに戻ってきた。2010年10月31日付のランキングでリー・ウェストウッド(イングランド)に1位の座を奪われてから、トップの座はマーティン・カイマー(ドイツ)、ルーク・ドナルド(イングランド)、そしてロリー・マキロイ(北アイルランド)と欧州勢が君臨を続けた。一方のタイガーは怪我の影響もあり、2011年11月6日付のランクではなんと58位まで順位を下げるどん底も経験。

2010年8月からスイングコーチのショーン・フォーリー氏にアドバイスをもらうようになって2年8ヶ月。試行錯誤を続けながら、やっとドライバーからパッティングまでのすべての部分で安定感を増してきていた。昨年はショートアイアンの距離感やバンカーショットに苦しんだ時期があったが、今年に入ってこの両方の問題はクリア。なんといっても好調のゴルフの鍵となっているのはパッティングだ。

「WGCキャディラック選手権」の大会前日水曜日、国別対抗戦「ライダーカップ」や「プレジデンツカップ」でパートナーを組む親友のスティーブ・ストリッカーに、パッティングが少ししっくりきていないと相談をしてアドバイスを受けた。

翌日から見違えるように5メートルから8メートルぐらいの中距離のパッティングタッチが向上、4日間で自己ベストとなる合計100パットで優勝。タイガーはその2週間後「アーノルド・パーマーインビテーショナル」でも優勝を挙げた。ストリッカーは、タイガーがチッピングの練習量が多い影響で構えが左体重だったことを矯正。また、手の位置がパターヘッドよりも体の中央にあるために、出球のコントロールも修正したという。

2013年のツアーデータでは3メートルから5メートルのパッティングでツアー1位(43.24%)、5メートルから8.5メートルでもツアー1位(28.57%)となっている。

タイガーは公式記者会見で自信と余裕を感じる表情に加え、笑顔も多くウィットに富んだジョークで記者を笑わせた。ここ数年と比べて「現在、自分のゴルフすべての面でしっくりきていて向上してきている。安定感もありますし、それが勝利という形で証明されている」と語った。

ラスベガスや英国のブックメーカーはタイガーを優勝候補ナンバーワンに挙げていて、掛け金倍率は3.5倍。ロリー・マキロイは2番手で9倍、そして11倍のミケルソン、ジャスティン・ローズの21倍と続いている。また、面白い優勝オッズではタイガーが5打差以上の圧勝に10倍、タイガーが初日からトップを守る完全優勝には17倍という掛け率となっているという。

マスターズの準備としてタイガーは、3月31日にオーガスタナショナルで練習ラウンドをしてコースをチェック。その後、一般ギャラリー(パトロン)が入らない日曜日(4月7日)にスティーブ・ストリッカーと14ホールの練習。月曜日は午後にダスティン・ジョンソンと14歳のアマチュア、グァン・ティンランと9ホールをプレー。火曜日は午後3時にフレッド・カプルスとフロントナインをプレーと、これまでの早朝練習ラウンドのスケジュールを変えてきている。またタイガーは、2003年を最後に水曜日の恒例パー3コンテストには出場していない。子供がタイガーのキャディができるように成長したときは、また参加したいと以前話していた。初日午前10時45分、タイガーはルーク・ドナルドスコット・ピアシーという組み合わせでプレーを開始する。

■ アーノルドパーマー招待 優勝時の使用クラブリスト■

ドライバー: ナイキ VR TOUR 8.5度、グラファイトデザイン Tour AD 6X シャフト(昨年と同じ)
3番ウッド: ナイキ VR Pro リミテッドエディション 15度、三菱ディアマナ 青 103X(昨年と同じ)
5番ウッド: ナイキ VR-S Covert 5番ウッド 19度、三菱ディアマナ 青 103X
アイアン(3番~PW): ナイキ VR Pro ブレード、TT ダイナミックゴールド X100
ウエッジ: ナイキ VR Pro 56度、60度、TTダイナミックゴールド S400
パター: ナイキ メソッド 001 プロトタイプ
ボール:ナイキ One Tour D
靴:ナイキ TW ’13

赤いヘッドの5番ウッドは「WGCキャディラック選手権」から使用。その時のコメントでは「以前使っていたSQモデルは3つバージョン前のモデルでした。これはディープフェースになっていて私が見慣れているヘッド形状でした。実際に使ってみると距離が出るので3番アイアンとこの5番ウッドの距離の間が空いてしまうのですが、この5番ウッドは高く打つ事ができるので少し距離を落とすことが可能です。上手く高さを出し、スピン量を増やす球を打つ選択の幅が広がりました」と説明していた。

1995年から毎年マスターズでプレーをしているタイガー・ウッズにとって、今回が19回目の参戦となる。1995年(41位タイ)と1996年(予選落ち)はアマチュアとしてのプレーだったが、プロに転向して初めて挑戦した1997年は初日のフロントナインで「40」を叩き出遅れてしまう。しかしバックナインではなんと6アンダー「30」として初日は2アンダースタート。その後スコアを伸ばしていったタイガーは、大会記録となる通算18アンダーで2位に12打差という圧勝を果たしていた。タイガーはその1997年に加えて 2001年、2002年、2005年と過去4回勝利を収めて表彰式でグリーンジャケットに袖を通している。

アンディー和田(ゴルフチャンネル解説者/ゴルフネットワークにて欧州ツアー解説を担当)

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