飛距離vs正確性
2003年の米ツアーザ・ヘリテージは飛距離も申し分ないデービス・ラブIIIが優勝したが、ラブを含む、優勝争いに絡んだ選手の多くは決してロングヒッターではなく、ショットの正確性が高い選手が多かった。理由は明確で、ザ・ヘリテージ開催コースはフェアウェイが狭く、ただ距離を稼げばよいという設計でもない。しかしこのようなショットの正確性を問うコースはどんどん少なくなってきているのが米ツアーの現状だ。本来、ゴルフの基本とされる、まずはフェアウェイキープするという点が最近では重要視されなくなってきた。その裏づけとして、今季始まって15試合中、ドライバーの正確性を意味するフェアウェイキープ率の上位22名の内、ひとりもまだ優勝を遂げていない。
ピーター・ジェイコブセン(フェアウェイキープ率4位)
「残念ながら、どれだけ正確にボールをフェアウェイに打つかというのは、重要視されていない。ロングヒッターの時代だし、ギアの技術の後押しもある。もしかすると、今後はもっとフェアウェイを狭くしていかないと、試合は面白くならないだろう」
ドライバーのフェアウェイキープ率1位を誇るフレッド・ファンクは、どんなにショットの正確性をもっていても、平均飛距離が272ヤードでは勝ち目がないと感じているらしい。
フレッド・ファンク
「オーガスタのような長い距離のコースではティオフする前から負けが決まっているようなもの。どんどんパワーのある選手が有利な環境になってる」
ハル・サットン(フェアウェイキープ率3位)
「米ツアーもそろそろ考えた方がいい。ロングヒッターたちが有利な試合はもう十分だ。そろそろ正確性が問われる試合が増えてもいいだろう。若者のパワーに競り勝とうと必死に打ってボールのコントロールを失うのはもう嫌だ。時々は飛距離以外が考慮されるトーナメントがあってもいいじゃないか。昔はまず真っ直ぐに打つことを学んでから、なるべく遠くに打つことを教わった。でも今は先にどれだけ遠くへ飛ばせるかを先に学ぶんだ。おかしな時代だね」