「わたしがここに来た理由」60位→9位!イ・ボミが思い出したこと
「すごくうれしい!」。メジャーの大舞台で最高の笑顔を見せたのは、初日60位と出遅れたイ・ボミ(韓国)だ。カリフォルニア州のミッションヒルズCCで開催されている「ANAインスピレーション」の2日目、6バーディ、ノーボギー「66」と猛チャージをかけた。通算5アンダーとし、首位と2打差の9位グループに浮上した。
この日のスタート時間は午後0時41分だったため、午前中はホテルの部屋で午前組がプレーするのをテレビで観戦していたという。韓国のチョン・インジ、ジャン・ハナらが60台をマークしてリーダーボード上位でプレーする姿を見て、「簡単そうにスコアを伸ばしている。なんでわたしだけ、難しく考えてプレーしていたんだろう。私だって60台を出せる」と闘争心のスイッチが入った。
21歳のチョンも、23歳のジャンも27歳のイ・ボミから見れば後輩だ。チョンは米国参戦間もないルーキー、ジャンは2年目。「みんなのプレーを見て勇気が出た」。5年ぶりのメジャー出場に要らぬ不安が先に立ち、初日は、本来の思い切ったゴルフを押さえ込んでいたという。
さらに「わたしは何をしにここ(メジャーの舞台に)来たのか」を考え、自らを奮い立たせた。8月に迫るリオ五輪。その代表枠を狙い、韓国の選手間で熾烈な争いが繰り広げられている。最新の世界ランクで15位のイ・ボミは、出場4選手には届かない8番手。メジャーで上位に入り、世界ランクポイントを上げることこそが、いまここにいる理由だ。
「もちろん優勝したいけど、トップ10に入ることを目標にここにきた」。初日は安全なプレーを心掛け「チャンスも少なかった」という。「きょうは攻めるゴルフだったし、良いイメージを作れた」と、ピンチも切り抜けノーボギーとした。
清水重憲キャディも「今年一番のプレー内容」と評した。圧倒的な集中力で、この日の最少スコアとともに、今季の自身のベストスコア「66」を叩きだした。賞金女王を戴冠した時もそうだった――有言実行。目標達成への強い気持ちが、この日のイ・ボミを突き動かした。(カリフォルニア州ランチョミラージュ/糸井順子)