吉田弓美子は「思い出づくり」の長尺パターでバーディ量産
「思い出づくり」の長尺パターが火を噴いた。国内女子ツアー今季最終戦「LPGAツアー選手権リコーカップ」の2日目、18位から出た吉田弓美子が8バーディ、2ボギーの「66」をマークして、通算3アンダーの首位に浮上した。
前半を3バーディ、1ボギーで折り返し、迎えた後半。12番(パー3)ではピン右4m、13番(パー5)では下りのフックライン3mを読み切ってバーディ、続く14番では残り15ydのアプローチをチップインで沈めて3連続とし、トータル8つのバーディを量産した。
会心のパットは15番。2打目はグリーンを外してアプローチが寄らず、3.5mのパーパットを残した。「自分の思ったとおりのストロークができた。あれを沈められたので、16番のバーディにつながったんだと思う」。
2016年1月1日のルール変更まであと1カ月。パターを体の一部に固定してストロークすることを禁止するアンカリング規制が迫っている。この改正に伴い、2010年の夏場から使い始めたという長尺パターを今季開幕戦から封印していた。
2週前の「伊藤園レディス」で「どうクラブを上げていいか分からない」と軽いイップス状態に陥り、予選落ちを喫した。普段からプレースピードの速い吉田は「急がなきゃと思うほど、身体が動かなくなった」と、自分のプレー以上に、同伴競技者に迷惑をかけることを懸念した。
今年は最後まで通常の長さのパターでプレーしたかったという思いもあるが、前週の「大王製紙エリエールレディス」から、実家に眠っていたというほこりだらけの長尺パターを引っ張り出し、試合に投入。「(この試合で)長尺は最後という気持ち。思い出づくり。今季最後のメジャーだし、思い残すことなくプレーしたい」と、万全な準備で臨んでいる。
「ずっと長尺を雑に(ほこりをかぶって)扱っていたのに、こんなに入ってくれてありがとう」。吉田の感謝の気持ちは、最終日までパターに届く?(宮崎県宮崎市/糸井順子)