上田桃子がメジャー初Vへ1差2位 カギ握る攻めのスイッチ
先月「CAT Ladies」で3季ぶりに国内ツアーを制した上田桃子が、初のメジャータイトルを射程に捉えた。「日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯」3日目。3連続を含む5バーディ、2ボギー「69」をマークし、首位に1打差の通算3アンダー2位タイに浮上した。
「この(初日からの)2日間よりもショットが良かった」という好転はこの日、上田の球筋にはっきりと現れていた。
かねて「ストレート系にしたかった」というが、先週のオフに、持ち球のドローからの矯正を敢行。準備を積んで乗り込んだ今週はしかし、「それが仇(あだ)になった」。本戦で練習通りの球筋が出ず、ドローボールの切れも鈍り、コースマネジメントに苦しんだ。
コーチとも相談し、この日はストレート系へのこだわりを捨て、ドローとフェードの併用に切り替えた。「右ドッグで打ちにくい」と話す9番と16番ではティショットでフェードを用い、フェアウェイキープから難なくパーで通過した。米国ツアー参戦1年目の2008年ごろからフェード習得に励み「ここ3~4年ぐらいで、ようやくモノになってきた」という。「打てる、打てないはショットの調子による。今日は良かった」と胸を張った。
「CAT Ladies」の優勝は、「そこから始まったわけではなく、その前から準備はできていた」と、上田にとっては1つの通過点。「焦りも余裕もなく、ニュートラルで良い状態」と継続中のメンタルコントロールも、プレーの軸として確立しつつある。
なかなか芽が出ずに苦しんだ米国ツアー参戦時は「ずっとスイッチを入れっぱなしで、常に戦闘モード。入れ込むことが、自分のスタイルだと思っていた」。そんな試行錯誤を経て「今は余裕を持ってプレーできているし、ずっと戦闘モードでなくても戦える自信がある」という境地へ。「年齢もあるのかな?」。今年でプロ10年目を迎えた28歳は、朗らかに笑った。
「今は、スイッチを入れる状況をずっと見ている感じ。明日も、様子を見ながら入れようと思う」。最終日に3打差を逆転したCATでは「早めに押していた」という心のスイッチ。明日もニュートラルからの一気の加速で、トップの座を奪ってみせる。(兵庫県三木市/塚田達也)