2016年 アジアパシフィック ダイヤモンドカップ

47歳の初体験 桑原克典の語る幸せとは?

2016/09/22 20:16
丸山茂樹、藤田寛之とは同学年。桑原克典は彼らともまた違う道を歩む

◇国内男子◇アジアパシフィック ダイヤモンドカップ 初日(22日)◇茨木カンツリー倶楽部 西コース(大阪府)◇7320yd(パー70)

大会当週の月曜日、本戦出場権を争うマンデートーナメントを通過した桑原克典。47歳のベテランが4バーディ、2ボギーの「68」をマークし、2アンダーの12位タイと上々のスタートを切った。

2010年を最後にシードから漏れ、低迷が続く。今大会は、今季の4試合目のレギュラーツアーだ。24人が参加した予選会をトップで通過し、同学年の塚田好宣、20歳の星野陸也とともに出場チケットをもぎ取った。

スコアはもとより「本当に楽しかった」と充実感いっぱいに言ったのは、先週“初体験”を済ませたから。来シーズンの出場権をかけ、10月上旬までに全国10カ所で行われた2次予選会(セカンドQT)を、16日に通過した。

学生時代は「東の横綱・丸山茂樹、西の横綱・桑原克典」と評された実力者。昨年3次予選会で敗退したことから、ツアー2勝を挙げた全盛時代は知る由もなかった場所に、参加せざるを得なくなった。

13年から積極的に出場してきた下部ツアーとも、また異質の緊張感がここにはあった。「4日間通算イーブンパー」が当初、目論んだ上位40位のカットラインだったが、蓋を開けてみれば5アンダーがギリギリのライン。「海外、とくに韓国の選手がたくさん出ていることで、すごくレベルが高かった。(通過した)40人のうち26人が外国人だったんだ」

賞金が出るわけでもなく、ただ職場を確保するための争い。「本当に厳しい世界。落ちたら来年はもうダメというQTは、4つ、5つと先を読みながらプレーをしなくちゃいけない。でも、ツアーは楽しい。『あのピンを狙ってやろう!』という気持ちになれる」。ミスを怖がることなく、ゴルフができる喜びがツアートーナメントにはあるという。

昨年の賞金ランクは130位。それでもクラブメーカーをはじめとしたサポートがいまもあり、ファンの支えもある。「僕の年代では家族もあって、子どももいる。気持ちも実力もあるのに、夢をあきらめてレッスンなどの仕事に就く人もたくさんいる。僕は幸せな方だから。チャレンジやQT、マンデーにも、挑戦することを悩んだら彼らに失礼」。異なる境遇の同世代のゴルファーのためにも、弱音は吐かない。(大阪府茨木市/桂川洋一)

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