37歳近藤共弘 再び勝者のサークルへ「今までと違う優勝」
「初めての感覚。今までとは、何かが違う優勝だった」。近藤共弘は、プロ15年目でつかんだ3年半ぶりの通算6勝目をそう表現した。
単独首位からスタートした「HEIWA・PGM CHAMPIONSHIP in 霞ヶ浦」最終日。前半5番、7番とボギーを重ねて一時は首位に並ばれながらも、8番以降は5バーディを奪う「65」(パー71)と伸ばし、終わってみれば通算20アンダーに乗せる4打差をつけての完勝だった。
スタート前に目標に置いた、通算20アンダーという数字。これまでの優勝争いでは、「見ないつもりでも、ついついチラチラと見てしまう」というリーダーボードには目を向けず、ひたすら目標だけを追い求めた。初めてボードに目を向けたのは17番グリーン上。「4打差もあるんだ・・・」と、初めてゴールが目前に迫っていることを知った。「最後までやるべきことに集中できたし、自信になった」。ベテランに差しかかった37歳は、これまでにない手応えと充実感に浸った。
タイトルから遠ざかった3年半の月日を「うまくいかないこともあったけど、毎年少しずつ良くなっている感触もあったから、(気持ちが)落ちることはなかった」と回顧した。今年は、10月「トップ杯東海クラシック」から替えたセンターシャフトのパターがマッチし、同時期から始めたトレーニングで基礎体力のアップも実感。「体力が落ちて、課題だった秋口に勝てた」ことも、さらなる進歩を示している。
近年は、石川遼や松山英樹、池田勇太ら20代が台頭。小田孔明や宮里優作ら30代前半組に加え、藤田寛之や宮本勝昌ら40代も優勝者に名前を連ねている。
対して、以前は優勝争いの常連だった1977年生まれの近藤、星野英正、矢野東は元気がない印象だった。
互いに奮起を誓い合っていたかと思えば、「僕も含めて、もう自分のことでいっぱいいっぱい。みんなで頑張ろうという感じでもなかったし、そんなことは気にしていられなかった」。そんな空気感からも、37歳の彼らが置かれている切迫した状況が伝わってくる。
近藤は今週の勝利で、賞金ランキングも3位にジャンプアップ。「この調子でいけば、残り4試合でどれだけのゴルフができるか楽しみです」。かつてツアーの中心にいた1人が、ようやく勝者のサークルに戻ってきた。(茨城県美浦村/塚田達也)