AONがレジェンズである理由/数字で見る日本オープン<2>
沖縄県の那覇ゴルフ倶楽部で開催されている2012年の「日本オープンゴルフ選手権競技」。その年の“日本一のゴルファー”の称号を争うメジャー競技。今大会は、プレーヤーのヘッドスピードをはじめとしたショットデータの計測機器「トラックマンシステム」などをツアートーナメントに導入している株式会社ビジョンテクノネットの協力により、選手のスイングデータから日本オープンでの戦いを紐解いていく。
沖縄の日本復帰から40周年の今年、この“南国”ではじめて行われた日本オープン。予選ラウンド2日間の主役はこの3人といって良かった。青木功、尾崎将司、中嶋常幸の3選手が同組でプレー。7年ぶりのAONの共演に大いに沸いた。引き連れた大ギャラリーは、最後まで温かい拍手を送り、3人が真剣勝負を繰り広げる中でも、和やかムードを呼んだのも事実だ。
しかし、彼らは本来、それぞれがとっくの昔に50歳に到達したシニアプレーヤーながら、そのスイングはやはり並の選手とは違っていた。今回、4日間トラックマンデータが計測されるのは16番ホール。フォローの風が吹くため、ほとんどの選手がドライバーで飛ばしにかかる467ヤードのパー4だ。
AON、それぞれのクラブスピード(ヘッドスピード)を見てみると、中嶋は66位(48.2m/s)、尾崎は105位(45.5m/s)、青木は全選手中最下位の112位(42.9m/s)だった。やはり年齢の順に全体と比較すれば下位に位置する数字といえる。(なお、トップは小田龍一の54.5m/s)
しかし、これは飛距離に比例しない。キャリーの距離でいうと、中嶋が34位(277.8ヤード)、尾崎54位(272.2ヤード)、青木は97位(244.1ヤード)とそれぞれが、クラブスピードの部門より高い“順位”につけている(トップは宮本勝昌で310.4ヤード)。
さらに弾道の高さ(地面から最高到達の距離)でいえば、中嶋は全体2位(38.6ヤード)、尾崎は14位(32.6ヤード)青木は30位(30.1ヤード)という数字。(トップは宮本勝昌の40.6ヤード)。フォローの風に乗せて距離を稼ぎ、狭いフェアウェイを確実にとらえるため、いずれも高い打ち出しから、類似する弾道の軌跡を描いているという。
計測によれば、3選手のスピン量はいずれも2500回転前後。かかりすぎず、抑えすぎず、適切といえる量の縦回転のスピンだ。確かに、パワーは衰えている。だが、その力を無駄なく、効率よくボールに伝えるスイング。レジェンズがいまだツアーで戦える理由のひとつが、ここにもあった。