上田桃子 周りの人に支えられて、世界に羽ばたきたい
上田桃子には、“この子は他のゴルファーとは違うぞ”という何かを感じさせることが多い。大事なパットを外した時は、パターを頭に叩きつけて悔しがり、優勝争いに敗れた時は悔し涙が止まらない。それはライバルを退けて優勝を果たした時も同様で、こみ上げてくる涙がどれ程この戦いに賭けていたのかを雄弁に物語る。
「私は勝ちたい!」という熱情を、今一番感じさせてくれる上田桃子に、全英女子オープンに向けて出発する直前にインタビューを試みた。
「上田桃子 ―進化する―」
ツアーフル参戦2年目の今年、地元熊本で行われた「ライフカードレディス」で初優勝を飾り、「リゾートトラストレディス」「スタンレーレディス」と早くも今季の目標としていた3勝を達成した。
―― まずは年初に掲げた「年間3勝」目標を早々と達成しました。この躍進の原動力はなんですか?
「周りの人達の支えが、1勝2勝としていく度に大事なことなんだとありがたく感じています。家族やキャディ、コーチ、周りのスタッフ、そういう人達の支えが自分を強くさせてくれていると思うと、もっと頑張らなきゃという気持ちになります。それに今年のW杯があれだけの惨敗で…。ああいう悔しい思い出があるから、今年日本ツアーで頑張れていると思います」
―― プロ3年目。ファンとの接し方は変わりましたか?
「優勝争いとかしてくると、どの選手にどれだけのファンがいるっていうのも見ていて分かるじゃないですか。もし相手に凄いギャラリーが拍手して、自分にはしなくてっていうのだと、気分よくプレーできるものじゃないですよね。そういう点で大山さんとか古閑先輩とか、ファンが多い人を見習って、自分でも少しずつ強くなっていきたいなら、ファンも味方につけて一緒に戦って貰えるように変えていかないといけないと思っています。だから、最近ちょっとずつ成績が出ているので、極力1枚でもサインは前より多くしようと思うし、物とかもあげられるときはあげようと思っています。自分の判断で、ですけれど。前より少しずつは出来ていると思います」
―― さて、技術的には去年と今年で変わった部分はありますか?
「ウェッジの距離感が前より良くなったのと、あとは持ち球がドローで、ドローが強かったのが少し自分でその幅を狭められている。あと高さコントロールが出来るようになってきたのと、パッティングがやっぱり一番変わりましたね。…結構変わりましたね、去年と今年(笑)。特に上手くいっているから、変われている気がします」
―― 普段の練習にも変化があると聞きましたが。
「前までは、やって大丈夫だっていう達成感とか安心感がないと不安だったけど、今はやってもダメだなと思ったら、あきらめもスパッと出来るようになりました。今やった方がいいなって時は、長い時間をかけて出来るようにもなったし。そういう意味で状況判断が出来ていますね。それはコースでもそう。今やった方が良いのか、やらなくて良いのか。それが内容も明確に分かっているから、より良い方向に進んでいるのだと思います」