財務アナリストvs.くまモン!?マスターズ・ローアマ争いの行方は…
◇メジャー第1戦◇マスターズ 3日目(8日)◇オーガスタナショナルGC(ジョージア州)◇7435ヤード(パー72)
マスターズ・ローアマチュアのタイトルに連なる名前は、そうそうたるものだ。ジャック・ニクラス(1960年)、ベン・クレンショー(1972&72)、フィル・ミケルソン(1991)、タイガー・ウッズ(1995)、セルヒオ・ガルシア(1999)、そして松山英樹(2011)……。今年は出場のアマチュアのうち、2人が予選を通過。最終日はシルバーカップを巡る争いが繰り広げられる。
3日目を終えて5オーバーの32位タイとリードするのは、週明け月曜日に26歳になるスチュワート・ヘイジスタッド。彼は2日目にはすでに、大会史に新たな1ページを刻んでいた。マスターズには1989年から「全米ミッドアマチュア選手権」の前年優勝者が出場。この招待枠で参加したアマチュアで、初めて決勝ラウンド進出を果たしたのだ。
全米ミッドアマは25歳以上、USGAハンディキャップ3.4以下(全米アマは2.4以下)の選手が争う。南カリフォルニア大出身のヘイジスタッドは、ジュニア時代にはジョーダン・スピースらとプレーした経験があるが、現在はニューヨーク在住で、ファイナンシャル・アナリスト(企業の財務分析の専門家)が本職。プロになる意思はないという。
大会開幕前にはオーガスタナショナルの女性メンバーであるコンドリーザ・ライス元米国務長官、スピース、アダム・スコット、ジャスティン・トーマスらと事前ラウンドを行った。「僕の人生で一番緊張したのは今回の練習ラウンドだった。あれに比べれば、本戦の緊張感はまだマシだった」と、木曜日からはリラックスして戦っているようだ。
4打差の9オーバー47位からライバルを追うカーティス・ラック(オーストラリア)は、昨年の「全米アマチュア選手権」「アジアパシフィックアマチュア選手権」を制覇した。両大会ともに優勝者はマスターズ出場権を得られる。今週練習ラウンドをともに行ったロリー・マキロイ(北アイルランド)も「飛距離も充分だし、なにせ彼はずっと落ち着いていて、動揺もしない。弱点が見当たらない選手」という。
ところで、ラックのキャディバッグをのぞいてみると、日本でお馴染み、熊本県のPRキャラクター「くまモン」のヘッドカバーが3Wを守っていた。地元のオーストラリア・パースのホームコースで、日本人の友人からもらったものだそう。3カ月ほど前から愛用し「去年、地震があったの?それは知らなかった。でも、僕のラッキーアイテムなんだよ」という。
ラックは今大会終了後、プロに転向する。すでに世界的なスポーツマネジメント企業のIMGのサポートも受けており、クラブメーカーをはじめとした各種契約が済めば、道具やキャディバッグといった身の回りのあらゆるグッズが変わっていくはず。オーガスタで、くまモン。あしたが見納めかも?(ジョージア州・オーガスタ/桂川洋一)
■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール
1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw