メジャー初参戦から5戦連続の決勝進出 松山英樹、同伴競技者が好調の妙
ニューヨーク州オークヒルCCで開催中の今季メジャー最終戦「全米プロゴルフ選手権」2日目。2オーバーの74位から出た松山英樹は、前半4バーディを奪う猛攻を見せ、一時は上位に浮上。しかし後半インで2ボギーを叩き、結局、通算イーブンパーの28位タイで予選を通過した。
猛チャージはスーパーショットを合図に始まった。前半3番(パー3)、松山はティショットをピンそば50センチにつけ、バーディが先行。すると5番で2つ目、さらにはウェッジでのチップインで6番(パー3)をバーディとする。折り返しの9番で5メートルを沈めて4つ目。順位を一時20位以内まで上げ、一気に上位進出の可能性を感じさせた。
しかし「良い感じで来ていたけれど、違和感が最後に出てしまった」とバックナインに入り、ショットが徐々に精度を欠いた。アドレスの修正に取り組み始めたのが今大会直前。「自分ができているのか、できていないのか不安が出てきてしまった」。得意のパッティングも助けてくれず、15番、18番では3メートルのパーパットを決めきれなかった。
それでもアマチュア時代の11年「マスターズ」以降、これでメジャー初参戦から5試合連続で予選を通過。日本勢では鈴木規夫、藤田寛之の4戦連続を更新し最長となった。「(米ツアーの)賞金シードのこともあるので、予選通過は良かった。ここで決めるのが一番いい形。トップとの差を少しでも縮めて、(最終日に)良い位置で回りたい」と、結果には自ら及第点。週末に向け、夕焼けがまぶしく照らす練習場で再び打ち込んだ。
ところでこの日、同組で回ったジェイソン・ダフナーがメジャー新記録にあと1打に迫る「63」ストロークをマークし、通算9アンダーの単独首位に立った。また、もう一人の同伴競技者スティーブ・ストリッカーも5アンダー7位タイにつけている。
前週の「WGCブリヂストンインビテーショナル」では初日から2日間を同組でプレーしたタイガー・ウッズが独走優勝。さらに7月の「全英オープン」では、やはり予選ラウンドをともにしたフィル・ミケルソンが勝った。6月「全米オープン」はビリー・ホーシェルが予選ラウンドを終えて首位タイ。どういうわけか松山は、予選同組で好プレーを目の当たりにし、ギャラリーの心を同組選手にさらわれる“完全アウェー”の状態をよく経験している。
松山は現在、ツアー外メンバーの将来有望なタレントとあって、トッププレーヤーと予選で同組に入る機会は多い。それでも超一流選手たちの、年に何度あるか分からない超一流のプレーを肌で感じることができるのは、まぎれもない財産だ。(ニューヨーク州ロチェスター/桂川洋一)
■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール
1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw