2012年 マスターズ

アジアを引っ張るアマチュア松山英樹

2012/04/07 11:20
3人が決勝ラウンドに残ったアマチュア勢で最上位につける松山英樹。日本の、そしてアジアの代表としてオーガスタで躍動を続けている(Andrew Redington/Getty Images)

2012年の「マスターズ」は予選ラウンド2日間を終えて、松山英樹が通算1オーバーの31位タイで2年連続の決勝ラウンド進出を果たした。昨年、日本人史上初のアマチュア選手として出場を果たし、ローアマチュア獲得の快挙を達成。そして同年の「アジアアマチュア選手権」も2連覇して戻ってきた約束の地で、今年も期待通りの成績を残している。

今大会に出場した6人のアマチュア選手のうち、予選を通過したのは3人。松山以外はケリー・クラフトパトリック・カントレーの米国勢で、2人は昨年の「全米アマチュア選手権」のファイナリストとしてオーガスタ行きの切符を手にした。両選手は2日目を終えていずれも5オーバー57位タイとギリギリで決勝ラウンド進出。あくまで本人は来季の出場権を獲得できる16位以内が目標だが、2年連続のローアマ戴冠もやっぱり期待してしまう。

ちなみに、今大会に出場したアジア勢は松山も含め6人。内訳は石川遼を含めた日本勢2人と、韓国勢4人。しかしキム・キョンテチェ・キョンジュ、そして石川は予選落ち。松山はこの中で、1アンダー19位タイのY.E.ヤンに次ぐ成績で決勝に進んだ。ちなみに残る一人はベ・サンムン。初日「75」をたたいたが、この2日目に「71」で初出場ながら予選を突破した。

ところで、オーガスタナショナルGCにある大会期間中のリーダーズボードをご存知だろうか。電光掲示板はひとつもないため、運営スタッフは上位選手のスコアが動くたびに、せっせと白いボードの入れ替え作業を行っている。話は初日に戻るが、では大会開幕直後のボード、いわゆるまだスコアの入っていない、初期設定の段階では、いったい誰の名前が掲げられていたのだろうか?

答えは以下の6選手。上からチャール・シュワルツェル、ケリー・クラフトロリー・マキロイダレン・クラークキーガン・ブラッドリーブライデン・マクファーソンとあった。彼らはいずれも昨年のビッグトーナメントにおけるチャンピオン。順番にマスターズ、全米アマ、全米オープン、全英オープン、全米プロ、全英アマを制した面々だ。

アマチュアの名前も2人ある。だがそこに、アジアチャンピオン「MATSUYAMA」の文字は無かった。確かに同大会の歴史はまだ2年と浅い。だがこの“格下”のような扱いが、ただただ残念だった。

今大会で初めて名誉スターターを務めたゲーリー・プレーヤーは「まさかこんなにゴルフが世界に広がるとは思っていなかった。初めてマスターズを勝ったとき、心の奥底で思ったんだ。この勝利がたくさんの人々に『ここでプレーしたい』という気持ちを掻き立てられないかなって」と半世紀を振り返った。米国、英国が中心だったゴルフ界の門戸を開いた第一人者は、人気者のキャラクターを持つ以前に、強かった。

マスターズももちろん、ルール上、プロとアマの垣根は無く、国や地域を代表する一人の選手として見られる。生活をかけたプロゴルファーと比較すれば、アマチュアに失うものは無いかもしれない。けれど背負うものは彼らも決して小さくないはずだ。(ジョージア州オーガスタ/桂川洋一)

■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール

1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw

2012年 マスターズ