2012年 ファーマーズ・インシュランスオープン

見劣りした? トーレパインズのフィールド

2012/01/30 11:45
ファーマーズ・インシュランスに出場した選手で最も前週の世界ランクが高かったのは、ダスティン・ジョンソン。3日目には人気者のリッキー・ファウラーと同組でラウンドした

カリフォルニア州のトーレパインズGCで行われた米国男子ツアー第4戦「ファーマーズ・インシュランスオープン」はブラント・スネデカーがプレーオフの末、逆転優勝。ツアー2年目のカイル・スタンリーを破り半世紀に及ぶ歴史あるトーナメントを制した。

今週行われた2つの大会を前に、欧米のゴルフ界では、「アピアランス・フィー」、いわゆる名物選手を招致するための“出場給”の話題がひとつのトピックスとなった。発端、というか話が大きくなったのはタイガー・ウッズが過去6度の優勝(2008年の全米オープンは除く)をマークしている、このトーレパインズでの大会を欠場し、優勝争いを繰り広げた「アブダビHSBC選手権」の出場を発表した昨年末からだった。

確かに今週の欧州ツアーはタイガーやロリー・マキロイ(北アイルランド)、ルーク・ドナルド(イングランド)の今季初戦とあって、見所は満載。前週発表の世界ランクでは1位から4位の選手、ドナルド、リー・ウェストウッド(イングランド)、マキロイ、マーティン・カイマー(ドイツ)は、欧州でプレー。米国でファーマーズ・インシュランスオープンを戦った前週ランキングトップの選手は9位のダスティン・ジョンソンで、トップ10の選手はそのジョンソンだけ。対するアブダビには6人もいた。

タイガーが今週、このアピアランス・フィーで手にした額は、およそ150万ドル~250万ドルとまでいわれている。つまり、試合に出場するだけで1億円以上を得るという推察だ。ちなみに、ロバート・ロックが手にした優勝賞金は34万7024ユーロ(約3500万円)。もちろん、このお金を手にしているのはタイガーにとどまらず、ESPNなどの報道によれば、大会側は500万ドルあまりの額を用意していたとのことだ。

タイガーは「世界中の選手たちが間違いなくアピアランス・フィーを手にしている。それが無いのはアメリカだけ」とコメント。一方、今週米国でプレーした面々も選手としての立場を主張した。昨年の「韓国オープン」に招待選手として出場し、プロ初優勝をマークしたリッキー・ファウラーは「僕たちがゴルフをする理由の多くは、やっぱりお金のためでもある。だから反対はしない。特にアジアのようにフィールドが決して強くないトーナメント(ツアー)の活性化になるはずだ」。

今大会は予選で姿を消してしまったフィル・ミケルソンも「ここでは600万ドルの賞金で戦っているけれど、あっちでは270万ドル。3分の1とか、半分くらいの賞金のために(米国を主戦場としている選手が)6000マイルも離れた会場でプレーするんだから」。そして、ゴルフがグローバル化していることに注目すべきと付け加えた。

プロスポーツは「成績」というアウトプットに対して報酬が得られるべきという考え方と、ゴルフのグローバル化という大義名分を持った市場戦略。良いか、悪いかはさておき、世界中をまたにかけたスター選手の綱引きはこれからも続きそうだ。(カリフォルニア州サンディエゴ/桂川洋一)

■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール

1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw

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