悔しい・・・けど、今の自分に自信がついた!辻村明須香
国内女子ツアー開幕戦「ダイキンオーキッドレディストーナメント」最終日。注目の宮里藍は中盤優勝争いに名を連ねたが、最終的には4位タイに終わった。宮里のホールアウト後に会場の視線を集めたのは、ビジュアル系女子プロゴルファーと言われる辻村明須香だった。
昨年行われたクオリファイで好成績を上げられなかった辻村は、今シーズン推薦による8試合にしか出場できない。そんな辻村が、最終日を首位と1打差の3位タイでスタートすると、6番ホールを終えた時点で単独首位に立っていた。
「首位になったのはボードを見て確認しました。この時点では良い緊張感をもってプレーできました」。初日から好スタートをきった辻村は、2日目を終えたとき、優勝したいという思いにかられた。それは、優勝すれば翌年のシード権の獲得に限りなく近づくということもあるが、むしろ翌週から1年間試合に出ることができるからだ。
宮里藍、横峯さくら組がホールアウトすると、多くのギャラリーが辻村のプレーを見ようと15番ホールに駆けつけた。周囲がざわつきだしたにもかかわらず、このホールでピンの上1メートルにつけ、バーディパットを見事に沈めた。この時点で2位と2打差。優勝者のプレーを撮影しようと多くのカメラマンも集結した。
16番パー3を1オンし、下からのラインを確実に2パットでパー。しかし、続く17番からドラマが始まった。強烈な左からの風を受けたティショットはフェアウェイ右サイドのギャラリーの中へ。続く2打目に選択したのはフェアウェイウッド。左足下がりの難しいライでダフってしまい、ボールは右サイドのカート道を下ってグリーン手前のラフへ。ミスショットが飛び出したが、その後のライは順目で周囲も開けていたため、スイングには問題ない。まだツキはある、はずだった。ピン手前3メートルのパーパットが決まらず、スコアを1つ落としてしまった。
「17番でのボギーが痛かったですね。今日は朝から緊張はしていましたが、あの17番で優勝へのプレッシャーを感じ出しました。プレーオフは手も動かなくなって、というか最後の2パットは手が震えていました」。最終18番パー5でバーディを奪えず、6アンダーでホールアウト。米山みどりとのプレーオフは、1ホール目で辻村が1メートルのパーパットを外し、自滅のような形で決着がついてしまった。
コースを出た辻村の目には大量の涙があふれ出ていた。「悔しいです。でも、この経験を活かしてがんばります」。この言葉の裏には、辻村がこのオフに行ってきたトレーニングが物語っている。今まで辻村に対するメディアやファンの目は、トーナメントの成績以外のところが多かった。しかし、自分の努力しだいで強くもなれると思ったこのオフ、今まで経験をしたことのないようなハードなトレーニングを積んできた。
今回、試合の一週間前から沖縄入りし、練習ラウンドを行う以外にも走りこみなどを行ってきた。その成果が、今週さっそく表れた。そして結果が自信を生み、選手を成長させる。辻村が所属する事務所の社長も言っていた。「今年の辻村は絶対に結果を残しますよ」。自信を持ってゴルフをしているからこそ、ショットはピンに寄り、パッティングが決まる。今日の苦い経験を次回に生かし、次こそは「優勝」という期待が持てそうだ。