きょうはアダム・スコットだ!20歳・池村寛世の“モノマネ”がすごい訳
「特徴があるスイングなら、だいたいモノマネできる」と得意顔を向けるのは、昨季の下部チャレンジツアーで2勝を挙げ、今季は初のレギュラーツアーを戦う20歳の池村寛世だ。スイングの個性的なところばかりを強調するお笑い向けのモノマネではなく、普段から実戦に取り入れているというから興味深い。
国内男子ツアー「ISPSハンダグローバルカップ」2日目に、6バーディ、ノーボギー「65」(パー71)をマーク。ショットの不調から56位と出遅れた順位を8位タイまで上げ、通算7アンダーで首位と3打差に迫ったが、猛チャージは「きょうはアダム・スコットをイメージした」というスイングから生まれたのだという。
朝の練習でもショットの不振は拭えず「きょうはモノマネでいこう」と意識したのは、世界でもトップクラスのショットメーカー。「体幹を意識して頭をブラさず、背筋で打つ感じ」とスコットのイメージをスイングに取り入れると、見違えるような弾道に変わった。前半12番(パー3)では6Iで1mにつけて最初のバーディ。4番、6番と2打目を50センチ前後に絡めると、最終9番も97ydから1mにつけるバーディで締めくくった。
暇さえあれば海外ツアーの動画を眺めているという池村。いつしかスイングの模倣が「得意になった」といい、レパートリーはルーク・ドナルド(イングランド)やセルヒオ・ガルシア(スペイン)ら15人ほどに上るという。
池村が“モノマネ”と称するイメージ作りは、1打ごとに対象選手を変えることも多いそうだ。「フェードを打ちたいときはルークのように(カットに)切ってみたり、絶対に曲げたくないときは川村さん(川村昌弘)みたいに無理やり持っていく感じ。いま自分に足りないところを補おうと、常に試しています」とドヤ顔で語った。
この日のグリーン以外では、スコットのほか、時おりドナルドも織り交ぜつつ18ホールを完走した。ちなみに、クロスハンドが好調だというパットだけは、モノマネを取り入れない自分のオリジナル。「きょう“自分”がいたのはグリーン上だけでしたね」とキャディと軽快に笑い、コースを後にした。(石川県羽咋市/塚田達也)
■ 塚田達也(つかだたつや) プロフィール
1977年生まれ。工事現場の監督から紆余曲折を経て現在に至る。35歳を過ぎてダイエットが欠かせなくなった変化を自覚しつつ、出張が重なると誘惑に負ける日々を繰り返している小さいおっさんです。