オープンウィークが続く“夏休み” 男子プロは何してる?
ここ数年、年間試合数の確保に必死の男子ツアー。秋から冬にかけてトーナメントが連なる一方で、シーズン前半戦のスケジュールはどうしてもオープンウィークが目立つ。とりわけ、他のスポーツが盛り上がる夏場の寂しさは深刻で、昨年は7月上旬の「長嶋茂雄 INVITATIONAL セガサミーカップ」から、8月下旬の「VanaH杯KBCオーガスタ」まで6週間レギュラートーナメントがなかった。今年は31日(木)に開幕した「ダンロップ・スリクソン福島オープン」が新規開催されたが、それでも前後に3週間ずつの“オフ”ができている。
現在賞金ランクトップを快走する小田孔明にとっては、海外メジャー「全英オープン」、「全米プロゴルフ選手権」出場のため、ハードな移動もあり、空き週は貴重な休息期間。とはいえ、他の選手がヒマでしょうがないかと言えば、そうでもない。
レギュラーツアーとともに、下部ツアーのチャレンジトーナメントの出場権を持つ選手たちはセガサミーカップの後、チャレンジの2試合に出場できた。福島オープン初日に3位スタートを切った市原弘大はこのパターンに当てはまる選手。「先週の試合は2位で、良い感じで調子が続いている。いい流れに乗れている」。束の間のオフという感覚はない。
賞金ランク上位の選手も指をくわえているわけではなく、藤本佳則は広島で行われた2日間競技「ミッドサマーオープン」で優勝するなどローカルトーナメント3試合に出場し、850万円をゲット。今年海外に活躍の場を拡げた川村昌弘もこの間、ロシア開催の欧州ツアーに参戦した。
もちろん家族でハワイ旅行を楽しんだ手嶋多一のように、この3週間を充電期間とした選手もいる。しかし高山忠洋の場合は、思いがけないアクシデントに見舞われたケース。「前半戦に打ち込みが足りていなかった」と、専属トレーナーの作成したトレーニングメニューを手に、集中合宿に臨もうと息巻いていたのだが、セガサミーカップ終了から2日後、ジムで突如胃痛を訴え、逆流性食道炎を発症した。夫人からは「原因は北海道での暴飲暴食によるもの」と厳しい“診断”を受け、負い目も感じながら休養を余儀なくされた。
だがこの日、高山は福島オープンでの初日に4アンダーの7位でスタート。「クラブが重くて、重くて。クリーク(5番ウッド)は軽いものを急遽用意してもらった。欲なく回れたのが良かったのかも」。“リハビリ”に近い感覚にもかかわらず、3シーズンぶり通算6勝目へ上々の滑り出しを見せるのだから、ゴルフはなんとも分からないものだ。(福島県西白河郡/桂川洋一)
■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール
1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw