ノレンがスイスで劇的な勝利
「オメガヨーロピアンマスターズ」はプレーオフ1ホール目でスコット・ヘンドを下したアレックス・ノレンが制覇し、クランスシュルシエレGCでの2勝目を挙げた。
2009年にアルプスの麓でヨーロピアンツアー初優勝を果たしたスウェーデンのノレン。今回はここスイスで7月の「アバディーンアセットマネジメント スコットランドオープン」に続く今季2勝目、キャリアでは6勝目となった。
目下好調の波に乗る彼は、第100回「フランスオープン」でもトップ10入りを果たしているほか、「アバディーンアセットマネジメント ポール・ローリーマッチプレー」では決勝進出を果たすなど、輝かしい夏を送った。
6番からの4連続バーディで2打差の首位として前半を終えたノレンだったが、後半に入るとヘンドが盛り返しを見せ、共に通算17アンダーでホールアウトし、勝負はプレーオフへ持ち越された。
プレーオフでは、見事なティショットを放ったノレンが2打目を9メートルにつけたのに対し、ティショットが木を直撃して後方に跳ね返ったヘンドは、2打目でグリーン手前の池をギリギリクリアするにとどまった。
豪州のヘンドはチップショットを2.4mに寄せるも、ノレンがバーディパットをねじ込んで勝利をつかみ取った。
「『オメガヨーロピアンマスターズ』を2度制覇し、セベ・バレステロスやトーマス・ビヨーンの仲間入りを果たせたのはすばらしい心持ちがするね」とノレン。
「コース上で、誰が『オメガヨーロピアンマスターズ』で複数回優勝しているのかを知らせる看板を見て知っていたのでうれしいよ」。
「今季はハードに練習を積んだ。よりプレーする時間を増やし、ドライバーの安定感が増したんだ。ドライバーは僕の強みではなかったけれど、今は安定している。今回は家族と一緒で良かった。僕の子どもや両親は、ここへ来るのが初めてだったから」。
「僕はヨーロピアンツアーでは逆転やプレーオフで勝ったことがなかったので、喜びもひとしおだね」。
通算14アンダー3位にはイングランドのアンドリュー・ジョンストンが入り、更に2打差の通算12アンダー4位にはリー・ウェストウッドが続いた。更に1打差の通算11アンダー5位にリチャード・ブランドとフランスのジュリアン・クエンが入った。
ノレンは難しい1番でバーディを奪ってヘンドに並ぶと、その後の6ホールは並走状態が続いた。一方、ブランドは5番でチップインイーグルを決め、優勝圏内に留まった。
するとノレンは1段ギアを上げ、7番で寄せワンのバーディを奪うと、8番ではティショットをピン側1mに寄せてバーディを奪い、2打差の単独首位に立った。34歳のノレンは9番でもスコアを伸ばし、4連続バーディとするも、ヘンドもバーディを奪って食い下がり、両者の差は2打差のまま後半へ突入した。
2人はそれぞれ10番と11番で互いにボギーを叩き、12番と14番をともにバーディとすると、ヘンドが15番でバーディを奪ってその差を1ストロークとし、17番でノレンが3パットのボギーを叩いたことにより、両者並んで最終ホールを迎えることになった。
18番では、ティショットを左の林に打ち込んだヘンドの2打目が幸運なバウンドで池を超えると、グリーンを突っ切って奥のスタンドまで転がるドラマチックな一幕も。一方、ノレンはフェアウェイから打った2打目を9mにつけた。
スタンド付近から救済を受けてドロップしたヘンドは、寄せワンでパーセーブに成功すると、ノレンはこのホールを2パットのパーとしたため、勝負は前述のプレーオフに突入した。
「アレックスの方が(正規の)18ホールで僕よりも良いプレーをしたと思うし、勝利に値するだけのすばらしいバーディを奪っていた」とヘンド。
「最後のティショットはひるんでいたわけじゃなかった。他のティショットと変わらなかったよ。きのう、そしてきょうの2日に渡って、望むようなショットが打てなかったんだ」。
「きょう、彼は見事なゴルフをプレーしたけれど、僕は十分なプレーができなかった。それがゴルフだ。自分も勝てる位置にいながら、相手がプレーオフで見事なバーディを奪って勝ったのだから文句は言えないよ」。
序盤の5ホールで3バーディを奪ったジョンストンは最終日「65」をマークし、同胞のウェストウッドは7バーディを量産して、今週の最少スコアタイの「63」をマークした。
前半は「31」としたブランドだったが、16番でボギー、そして最終ホールでダブルボギーを叩くなど、後半は「38」と失速した。
クエンは8バーディ、3ボギーと出入りのあるゴルフで「65」とし、1打後方の7位タイにはイングランドのマシュー・フィッツパトリック、イタリアのレナート・パラトーレ、スペインのアレハンドロ・カニサレス、フランスのロマン・ランガスキュー、そしてドイツのフローリアン・フリッシュが入った。