波に乗るグリージョが首位へ
2週間前にヨーロピアンツアー初優勝を逃したアルゼンチンのエミリアーノ・グリージョだったが、その初優勝のチャンスがこの「アフリカオープン」で再度巡ってきた。
ここ2年間、この大会では9位、そして10位の成績を残しているグリージョは、イーストロンドンGCでの第3ラウンドを「62」と見事なスコアで回り、通算20アンダーとしてイングランドのオリバー・フィッシャーに2打差をつけて首位に立った。
今月初めの「ドバイデザートクラシック」で2位に入った21歳のグリージョは、同大会の72ホール目で2打目をグリーン奥のテントに打ち込みながらも、ボールがグリーンへ跳ね返る幸運に恵まれ、その残り18メートルのイーグルパットを沈め一時は首位に立っていた。
しかし、ディフェンディングチャンピオンだったスティーブン・ギャラハーが16番と17番で連続バーディを奪ったため、グリージョのドバイでの初優勝はお預けとなったが、世界149位の彼は、その2週間前の雪辱を果たすべく、この土曜日に目覚ましいパフォーマンスを発揮した。
「(ドバイでは)一旦は勝ったと思いましたが、スティーブンが最後の数ホールで素晴らしいプレーをし、彼がトロフィーを手にして、僕は2位でした。ただ、勝ったような気分にはなりましたね。最終ホールで素晴らしいパットを決めることができましたので、今年一年の自信に繋がりました」とグリージョ。
今日のラウンドについてグリージョは、「良いラウンドでした。良いプレーができましたが、特にパターに依るところが大きかったです。バックナインでは幾つか良いパットを決め、良いラウンドを維持することができました。どのラウンドでもそうですが、幾つか入らなかったパットもあり、それについては悔いていますが、それでも良いスコアでしたね」と加えた。
「今日は9アンダーで回れるほどピンそばに寄せられたわけではないのですが、パターに助けられました。12番と13番では長い距離のパットを沈めることができましたし、自分のゲームにはすごく満足していますので、明日のこの調子でプレーできたら良いですね」。
「ここはスコアを伸ばすことのできるホールが沢山あるだけに、幾つかパーが続くと焦れてしまうので、我慢が鍵となりますし、ちゃんとバーディを待たなくてはなりません。今日は風が出てきたので昨日までの2日間よりも難しかったのですが、その風も気にならないくらい良いプレーができました」。
米国のジョン・ハーンは、グリージョがこの日6つ目と7つ目のバーディを12番と13番で奪うまでの間、3日目のラウンドの大半を昨日からの2打差のリードを守る形でプレーしていた。
しかし、12番ホールでハーは47ホールぶりのボギーを叩いて首位タイから陥落すると、グリージョが15番と16番でもバーディを奪ってスコアを伸ばしたため、更にその差は開いてしまった。
これでグリージョと後続の差は4打差となり、グリージョは盤石の首位で最終日を迎えるかに思えたが、2日連続終盤の4ホールを4アンダーでラウンドしたフィッシャーがその間に割り込む格好となった。パー5の15番で2パットのバーディを奪ったフィッシャーは、続く短いパー4の16番ではドライバーで放ったティショットがガードバンカーでラッキーなバウンドをしてワンオンに成功し、2メートルのイーグルパットを沈めたのである。
最終ホールではアプローチを大幅にショートし、バーディの見込みはないかに見えたが、2011年の「チェコオープン」覇者であるフィッシャーは残りのロングパットを沈めてバーディとし、今週2度目の「66」で3日目のラウンドを終了した。
「この風の中では、どこへボールを打ってゆくかに気をつけねばならなかった。でも楽しいラウンドになったよ」とフィッシャー。彼は昨シーズン終了をもってヨーロピアンツアーのシード権を失っているが、日曜日に勝利することにより2年間の出場資格が与えられることになる。
「いくつかお粗末なショットもあったけれど、終盤のプレーは素晴らしかったし、今日のスコアには満足しているよ。2打差あるけれど、ここは大逆転も可能な類いのコースだからね」。
フィッシャーの2打後方には、3日目を見事な「64」でラウンドした同胞のリチャード・ブランド、地元南アフリカの大本命であるトーマス・エイケン、そして3日目を「71」でラウンドした前日まで首位のハーンがつけている。