野呂奈津子、3年ぶりに大きな勝利
雨が降った。ただでさえきついラフがじっとりと濡れ、選手たちもまた髪やウェアをぐっしょり濡らしてのプレー。最後まで耐久レースのような展開になった日本女子オープンだったが、野呂奈津子がスコアを守り抜いてついに公式戦を制した。一時は首位に並んだ黄玉珍は最後の土壇場でダブルボギーとして後退した。
野呂の優勝は95年の宮城テレビ杯以来。コンスタントに試合の上位にいるし、賞金ランキングでも上位常連なのだが、実は勝ち星に恵まれていなかった。
だいたい野呂は悲劇がついてまわるようなところがある。プロテストでは服部道子と同スコアで首位合格だったのに、ツアー後半戦の出場権(枠は1名)をさらわれてしまった。ルーキー1年目には賞金がわずかに足りず51位としてシードをとれなかった。96年の軽井沢72では優勝スレスレまでいったのに折悪しく福嶋晃子の「ツアーレコード」絶好調ゴルフとぶつかってしまった。
「信じられない。私は日本オープン(女子プロたちはこう呼ぶ)なんて縁がないと思っていたのに」と興奮気味の野呂。ホールアウト後、喜びを御主人と分かち合おうと探したが発見できなかった。「バッグをしまいに行ってしまったんです。約束したわけじゃないんですが、なんとなくグリーンサイドで抱きあって喜ぶんだと思いこんでいたもんですから」
御主人は大学ゴルフ部の出身。キャディをつとめてもらったが、今日は2度、いう事をきかないでミスしてしまったという。「いつも失敗する16番のグリーン、主人は真っ直ぐ打てと言ったんですが私はフックすると思って打ってしまったんです。パーを取りたかったんですが・・」
ま、ご亭主の話になると口が止まらなくなる。夫といっしょにオープンのタイトルを取るというのも、なかなかいい話です。「前の組を見る余裕もなかった。追いついたというのが実感。もし今回負けてしまったら自信喪失するところでした」という優勝。おめでとうございます。