18番で決めた!武藤俊憲が完全優勝 池田勇太は4位
◇国内男子◇関西オープンゴルフ選手権競技最終日◇泉ヶ丘カントリークラブ(大阪府)◇6929ヤード(パー71)
通算16アンダーの単独首位から出た武藤俊憲が最終ラウンドを6バーディ、4ボギーの「69」でまとめ、通算18アンダーまでスコアを伸ばして今季初勝利を飾った。
終盤13番から3連続ボギーをたたいてキム・ヒョンソン(韓国)に一時は並ばれたが、最終18番(パー5)でバーディフィニッシュを決め、1打差で振り切った。4日間首位を譲らぬ完全優勝で昨年11月の「ダンロップフェニックス」以来となるツアー通算5勝目となった。
通算15アンダーの単独3位には篠崎紀夫。3日目に「62」をマークした池田勇太は最終日イーブンパーで通算14アンダーの4位。12アンダーの5位にキム・キョンテ(韓国)が入った。
<「満足してはいけない」 武藤、笑顔なき完全優勝>
4日間首位を守りきる自身初の完全優勝にも、武藤の表情は複雑なものだった。「そこまでの達成感はないです。それくらい、やってはいけないことが重なってしまった。ちょっと危なっかしすぎますね」。2打差のリードをつけて迎えた最終日。前半で3つ伸ばし、折り返し後10番のバーディで通算20アンダーに乗せた。12番を終えて、2位とは3打差。勝利は磐石なものと思われた。
しかし、13番(パー3)で3パットのボギーを叩くと、続く14番もサンドウェッジのアプローチを引っ掛けてグリーンを外してのボギー。さらに15番でも1.5mを外して再び3パット。勝負どころのサンデーバックナインで3連続ボギーを叩き、自滅によりヒョンソンに並ばれた。首位タイのままで迎えた最終18番パー5。右ラフから残り約80ヤードのアプローチをピン右4mに乗せ、これを捻じ込んでの紙一重の勝利。「20(アンダー)で優勝しなければダメだと思っていた。18じゃ・・・」。
内容が伴わない、結果だけの優勝では満足できない。今年7月の海外メジャー「全英オープン」と、2週間前の世界ゴルフ選手権(WGC)「ブリヂストンインビテーショナル」を経験し、武藤は変わった。初日に6位発進とした全英では世界への手ごたえを、67位に沈んだWGCでは自分の課題を痛感。今週はアイアンとウエッジを総入れ替えし、パターのグリップも替えて臨んだ。早々に優勝という結果に現われはしたが、「まだまだクリアできていない課題が多い。キチッとできれば、もっと変わってくるはず」。達成感に浸っている様子は、まったく見られなかった。
武藤は続ける。「(海外)メジャーに行っても予選落ちばかりじゃ、これからの日本のゴルフにとっても良くない。藤田さんや谷口さんも頑張っている。僕らの世代も頑張らないと」。「WGC~」では、ロッカーが隣だったフィル・ミケルソンから“ハイ、ムトウサン”と挨拶されたという。海外のギャラリーから“全英は惜しかったね”と声をかけられた。少しずつではあるが、武藤の中で“世界”は近い存在になりつつある。「また挑戦したいけど、今日のゴルフでは海外では勝てない。だから満足してはいけない」。その覚悟を訴えるかのように、厳しい眼差しを報道陣に向けた。