2019年 マスターズ

“チーピン”も悪くない? オーガスタ10番は最難関

2019/04/08 18:42
第2打地点から見た10番ホール。グリーンが右から左に下っている

4月のメジャー初戦「マスターズ」が今週11日(木)に開幕します。すべてのゴルファーが憧れる会場のジョージア州オーガスタナショナルGCで、今年も熱戦が期待されます。1934年に開場した当地はボビー・ジョーンズとアリスター・マッケンジーの設計で始まり、年々進化を続けています。11番、12番、13番の“アーメンコーナー”はとくに有名ですが、他にも攻略が難しいホールばかり。大会直前のこのコーナーでは3ホール以外にポイントになるホールを5つピックアップして解説します。

オーガスタナショナルGC 10番パー4(495yd)

第1打は大きなドローボールが必要。バックナインがいよいよ始まる

フロントナインを終えて、いっそう気持ちを引き締めなければいけないのがオーガスタ。後半の入り口、10番は長い歴史の中で、もっとも難度が高いホールのひとつです。

ティショットは約20ydの打ち下ろし。1W、3Wで打ちますが、実際にボールが落ちるエリアは見えないので、ボールの軌道でポジションを想像します。左サイドからせり出ている木を避ける、大きな左回転のボールを打たなければなりません。(右打者なら)ドロー、いや、フックというのが正しいでしょう。普通なら「これ、ヤバイ!」という引っかけ、チーピンのようなショットでも、左サイドのフェアウェイぎりぎりに残っていることもあるのです。

ですから、左サイドから2打目を打った選手をご覧になった時は、「かなりのミスショットをしたのかも」と考えてもイイでしょう。2011年大会でロリー・マキロイ(北アイルランド)は左の林にある建物の近くまで曲げてしまい、これをきっかけに逆転を許しました。普通のコースなら“即OB”。打ち出しから左に抜けてしまった、不慮の事故というべき一打としか言いようがありません。

右奥から左手前に下る傾斜。ピンの右から攻めたい

2打目は、より気が抜けません。グリーンエッジまで残り182yd地点でマイナス7yd、162yd地点で5ydのマイナス。左足下がりのライになります。グリーンの横幅は20yd未満で、手前のエリアは下り傾斜で手前に30ydほど戻ってしまうことも。グリーンは右奥から左手前にかけて下っています 。右のバンカーが効いているため、左に打ちたくなりますが、行き過ぎると左手前の林まで落ちる危険性が出てきます。つま先上がりのライから精度の高いカットボールが打てなければ、トラブルになりやすいのです。

10番はプレーオフでも使用されるホールのひとつで、2012年にバッバ・ワトソンが、13年にはアダム・スコット(オーストラリア)が決着をつけました。スコットはピンの右から5mのバーディパットを決めてメジャー初制覇。その時、キャディのスティーブ・ウィリアムズは「あまり切れないぞ。ラインを薄めに読もう」とアドバイスをしたそうです。スティーブのすごさは、その直前の2打目にもあります。アイアンショットのキャリーをピンの横まで打たせない、手前10ydに落とさせて、あとはバウンドを使わせました。かつてタイガー・ウッズのバッグを担いで何度も優勝した経験が活きた最高のシーンでした。(解説・進藤大典)

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