2020年 ザ・ノーザントラスト

16億円争奪サバイバルがスタート デシャンボーならバンカーは関係なし?

2020/08/20 13:58

TPCボストン 18番パー5(530yd)

無観客開催でスタンドがない分、左サイドの硬いエリアを転がっていく可能性も※撮影は2016年「ドイツバンク選手権」(Ryan Young/PGA TOUR via Getty Images)

PGAツアーのシーズンを締めくくるプレーオフが始まります。1500万ドル(約16億円)という夢の超ビッグボーナスをかけたシリーズは昨季から全3試合に変更され、1年ごとにニューヨークエリアと入れ替えることになった初戦「ザ・ノーザントラスト」の舞台も今季はTPCボストンの番。4試合制だったときは第2戦を開催していました。

ボストンから南へ60㎞ほどの場所にあり、この時期は空気もカラッとしていて過ごしやすい気候です。ショットメーカー向きのコースは、フェアウェイキープ、そして何よりアイアンの精度がキーとなります。グリーン自体は小さくないですが、硬い上にアンジュレーションがあるので、落としどころに神経を使います。外してはいけないエリアを避ける必要もあるため、グリーンを狙うショットでの縦の距離感、ライン出しが重要になるのです。

飛ばし屋に変貌したデシャンボーならフェアウェイバンカーも関係なし?

チェックするのは18番(パー5)。フェアウェイは広めで気持ちよく振れそうな一方、ボールがよく転がるのでバンカーまで突き抜けてしまうことも。左からフォローの風が吹きやすい時期とはいえ、このバンカーを越えるにはキャリーで322yd飛ばす必要があります。

僕もいまだかつて見たことはありませんが、今季平均飛距離323.9ydでツアー1位のブライソン・デシャンボーなら“無視”して攻めていけるかもしれません。当地で2018年「デルテクノロジーズ選手権」を勝ったデシャンボーが肉体改造を経て、どのようにコースをねじ伏せていくのかは楽しみなポイントです。

基本的に2オン可能なパー5でイーグルも期待できるのですが、ボギーやダブルボギーも出てしまうホール。その理由はセカンドショットの難しさにあります。グリーン右のバンカーに外すのは「あり」。ただ、グリーン手前だけでなくバンカーのすぐ右にもペナルティエリアが広がっています。

左からの寄せが強すぎれば右のバンカーまで転がることも

グリーンの左サイドに外しても、そこからの寄せがひと苦労です。グリーンに上っていく段にワンクッションさせてのアプローチが理想形。急傾斜になっているので弱かったり、バウンドさせる位置が低ければ戻され、強すぎればバンカーまで転がってしまいます。逆目でボールの勢いが食われやすい中で勇気を持って傾斜にぶつけ、少しフックスピンをかけるイメージで打たなければ、なかなかピンには寄りません。まさに技の見せどころです。

パターで転がして傾斜を上り切れず、同じ場所にボールが戻ってきてボギー、というのもよくある光景です。一見すると簡単に2オンできそうですが、グリーンを外した際に致命傷を避けるリスクマネジメントが求められます。世界最高峰のツアーの中でも、エリートたちが集う一戦のフィニッシングホール。やはり一筋縄ではいきません。(解説・進藤大典)

2020年 ザ・ノーザントラスト