2020年 アーノルドパーマー招待

“キングの庭”での戦いは「マスターズまであと1カ月」のサイン

2020/03/05 07:40

ベイヒルクラブ&ロッジ 6番パー5(555yd)

“キング”をしのびながら戦うリッキー・ファウラーらトップ選手。頭の片隅で「マスターズ」を見据える(Keyur Khamar/PGA TOUR/Getty Images)

ゴルフ界のレジェンド、“キング”ことアーノルド・パーマーさんが亡くなられたのは、2016年9月25日のことでした。PGAツアーのシーズン最終戦「ツアー選手権」を終えた日の夜、ツアー関係者たちは訃報に接したのです。誰からも愛されたパーマーさんらしく、シーズンが終わるのを待っていてくれたような、そんな感覚に陥ったことを覚えています。

そんなパーマーさんのおひざ元、ベイヒルクラブ&ロッジ(フロリダ州)での「アーノルド・パーマー招待」。4月のメジャー「マスターズ」まであと1カ月ということもあり、選手たちに「このあたりで調子を上げていかないと間に合わない」という焦りにも似た気持ちが生まれがちでもあります。

昨年大会の練習ラウンドでは、ロリー(マキロイ)が見たこともないくらいフラストレーションをため込んでいたのが印象的でした。結果的に彼は年間王者となり、素晴らしいシーズンを送ったわけですが、当時は年明けからPGAにスケジュールを合わせているのになかなか勝てない状況が続いていました。世界のトップを走り続けている選手ですら、「マスターズ」を見据えてナーバスになってもおかしくない時期だということです。

左にいけばいくほどグリーンは近くなるが、ティショットのリスクが高くなる

コースは要所要所で池がからみ、特にティショットに対してプレッシャーをかけてきます。ラフも深いですから、いつも以上にティショットがキーとなります。

そこで今週ピックアップするのは6番。555ydのパー5です。前半、このホールでバーディを奪うと、流れに乗ることができます。池越えとなるティショットを左サイドに置ければグリーンもどんどん近くなります。ただその分、池を越えるのは難しくなります。十分に2オン可能な距離ですが、左奥に向かって伸びるグリーンに乗せるためには、縦の距離感、横幅に収める精度、スピンコントロールと3つの要素がそろったショットが必要です。

池を嫌って右に外せば寄せが難しくなる

左の池を嫌って右奥に打った選手には、容赦ない下りのアプローチが待っています。以前、松山英樹選手が右奥の芝が刈り込まれたコレクションエリアからロブショットで“OK”につけたことがありました。その日のベストショットに選ばれるレベルの芸術的な一打が求められる。それほどシビアなシチュエーションなのです。(解説・進藤大典)

2020年 アーノルドパーマー招待