“ヒデキの庭”の17番 勇気と技術が問われる左奥ピン
TPCスコッツデール 17番パー4 (332yd)
突然ですが、2月2日(日)にはNFLの祭典「スーパーボウル」が開催されます。PGAツアー通の方なら、これだけでピンとくるかもしれません。米国最大のスポーツイベントと同週の月曜日から、ゴルフファンにとってのお祭りはすでに始まっています。ツアー随一の集客を誇る「ウェイストマネジメント フェニックスオープン」。アリゾナ州の砂漠地帯にあるTPCスコッツデールには、一週間で60万人を超えるギャラリーが押し寄せます。
「松山英樹選手がメチャクチャ強い試合」として記憶しているファンの方も多いと思います。2016、17年と大会を連覇。過去21ラウンドでオーバーパーを打ったことがありません。そのうちアンダーパーを記録したのが20回ですから、PGAツアーのキャディや関係者の間で「ヒデキの庭」とささやかれているのも納得ですね。
ホールの全周をギャラリースタンドが囲む、スタジアムホールこと16番(パー3)が有名ですが、今週ピックアップするのは、僕にとってひときわ思い出深い17番。4年前と3年前、いずれも松山選手がプレーオフで優勝を決めたホールですから。
1オンも可能な距離でありながら、本当によく考えて設計されています。選手たちは、基本的に280yd地点のフェアウェイ真ん中に配置されているバンカーを越えるティショットを打っていきます。厄介なのは、グリーン左から奥にかけて広がる池。2016年大会の最終日、単独首位に立っていたリッキー・ファウラーは1Wショットを奥の池に入れ、松山選手がバーディを奪って追いつきました。リッキーはプレーオフでも3Wで左の池に打ち込み、結果的にそれが勝敗を分けました。
池を警戒してティショットで右に逃げれば、中途半端な距離が残るガードバンカー。バンカーまで曲がらなかったとしても、右からは全体傾斜が下っているため、左足下がりの難しい寄せを強いられます。グリーン自体も右サイドが一番高いため、右からのアプローチは全て下り。ギリギリを狙って少しでも弱ければ、全て戻ってきてしまいます。
2017年、松山選手は左奥にピンが切られた17番でバーディを奪い、ウェブ・シンプソンとの4ホールに及ぶプレーオフを制しました。ピンポジションが左手前のときはまだ易しいのですが、この左奥ピンは本当に難しい。手前のマウンドを越えると、そこから池に向かってダウンスロープになるため、突っ込みすぎれば池に吸い込まれていきます。ティショットの勇気とアプローチの技術に注目して、ご覧ください。(解説・進藤大典)